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「未来決められる投票、羨ましい」 香港デモの「女神」22日来日、民主選挙の価値訴え
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民主的な選挙制度を求めるデモの再開も視野に、テントが立ち並び始めた香港中心部、金鐘で、現場を案内する学生団体のメンバー、周庭さん=2015年5月18日、中国・香港(河崎真澄撮影) 香港で昨年起きた民主的な選挙制度を求める大規模デモで、学生団体「学民思潮」の幹部として活動を率い、“学民の女神”と呼ばれ世界から注目を集めた18歳の周庭(アグネス・チョウ)さんが、今月22日から6月3日まで初めて日本を訪れ、都内の大学などで若者と意見交換する。周さんは「民主選挙の大切さを訴えたい」と話している。香港では、政府が提出した2017年行政長官選の制度改革案が6月に立法会(議会)で採決される見通しになったことを受け、民主派候補を事実上排除する改革案を撤回させようと、学生らが議場突入も視野にデモ再開の時期を探っている。
周さんは香港の街頭を占拠した昨年のデモについて、「多数の若者が政治に関心を抱いてデモに参加した光景は忘れられない。真の普通選挙制度に向けた第一歩だった」と振り返り、手応えを口にした。
当時、大学生になったばかりの17歳だった周さんは、拡声器やマイクを握って民主化を訴え、「雨傘革命」と呼ばれた活動のシンボル的存在として注目を集めた。
デモの途中で周さんは突然、学民の幹部職を辞任したが、「家族でも友人でも学校でもない別のところから、強い圧力があった」と明かした。現在は一人の学民メンバーとして活動を続けている。
日本について「香港よりも進んだ民主的な選挙や政治制度がある。社会の未来を決められる『大阪都構想』の住民投票は羨(うらや)ましかった」と話し、「でも日本は若者の投票率が低いと聞いている。民主社会を求める香港人の熱意や民主選挙の大切さを日本で強く訴えたい」と意欲を示した。
日本のアイドルグループ「嵐」やアニメの大ファンで、日本語も独学で勉強している。「秋葉原やコンサートにも行って日本の文化に触れたい」と、18歳の素顔ものぞかせた。
香港では昨年12月にデモが強制排除されてから半年余りがたったが、政府の本部庁舎ビルと立法会が並ぶ香港島中心部「金鐘(アドミラリティ)」の歩道には、民主派の学生や市民らの抗議テントが再び林立し始めた。周さんによると、歩道のテントは100を超えたという。
立法会での改革案の採決は早ければ6月17日にも行われる。昨年の街頭占拠を主導した「香港専上学生連会(学連)」の羅冠聡事務局長は香港メディアに対し「改革案が可決された場合、議場への突入もありうる」と語った。一方で、10万人規模を動員し、あくまで立法会を包囲して抗議すべきだとの意見も聞かれる。
香港メディアが行った最新の世論調査で、政府の改革案に47%が賛成、38%が反対と答えた。ただ18~29歳の若者に限ると反対が63%で、賛成の28%を大きく上回っており、周さんは「公正ではないニセの普通選挙」と批判する。
一方、学連では今年3月以降、香港大など4つの大学の学生団体が「抗議が生ぬるい」などとして相次ぎ脱退し、残る香港中文大など4大学と分裂した。このため、統制が崩れ、抗議デモが起きれば、一部で先鋭化する可能性も指摘されている。(香港 河崎真澄、写真も/SANKEI EXPRESS)