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体制へ反抗続けた旧ソ連の大作曲家 世界で大旋風!ショスタコーヴィチのすべて 月刊音楽情報誌「モーストリー・クラシック」7月号

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体制へ反抗続けた旧ソ連の大作曲家 世界で大旋風!ショスタコーヴィチのすべて 月刊音楽情報誌「モーストリー・クラシック」7月号

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ピアノの前で曲想を練るショスタコービィチ(提供写真)  今年は旧ソ連が生んだ大作曲家ショスタコーヴィチの没後40年になる。その膨大な作品は今、世界中のオーケストラやソリストなどのレパートリーとして欠かすことはできない。モーストリー・クラシック7月号は「世界で大旋風! ショスタコーヴィチのすべて」と題して特集している。

 名門オケ、ソリスト演奏

 ショスタコーヴィチがどれほど演奏されているかは、オーケストラのプログラムを見れば分かる。日本では、NHK交響楽団が10月23、24日のパーボ・ヤルビ首席指揮者就任記念公演で、バイオリン協奏曲第1番を取り上げる。ソリストは五嶋みどり。読売日本交響楽団は6月13日、東京芸術劇場マチネーシリーズなどで交響曲第10番を演奏。指揮はテミルカーノフ。

 海外でも、ベルリン・フィルは今月29~31日の定期公演で、ハイティンクの指揮で交響曲第15番を演奏。オランダのロイヤル・コンセルトヘボウ管は9月のシーズン開幕演奏会で、ヨーヨー・マをソリストに、チェロ協奏曲第1番をガッティの指揮で演奏する。

 東京フィルのコンサートマスター、荒井英治らがメンバーのモルゴーア・クァルテットは1992年、ショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲全15曲を演奏することを目的に結成された。今年12月31日には横浜みなとみらいホールで1日で全曲演奏を行う。演奏が終わるころには年が明けている。

 「15曲は、15の章からなる長い物語とも考えられます。弦楽四重奏曲は親しい仲間を呼んで演奏されました。彼の心の日記のようなものです」と荒井は話す。

 スターリンの逆鱗に触れ

 ショスタコーヴィチは共産党一党独裁の社会主義国家、ソ連とともに並走した。1906年、ペテルブルク生まれ。父親は度量衡検査局、母親はペテルブルク音楽院ピアノ科出身だった。自身もペテルブルク音楽院に入学、院長の大作曲家グラズノフに師事した。

 1926年、卒業制作の交響曲第1番がレニングラード・フィルによって初演され、大成功。評判はすぐに欧米に伝わり、ワルターやストコフスキーも指揮している。順風満帆にスタートした作曲家人生だが、幾度となく大逆風にあう。36年、オペラ「ムツェンスク郡のマクベス夫人」とバレエ「明るい小川」が共産党機関誌プラウダで「荒唐無稽」と糾弾された。その2日前、「マクベス夫人」を見たスターリンは途中で退席していた。スターリンの逆鱗に触れたこのオペラは上演が禁止された。

 1948年、共産党中央委員会書記ジダーノフによって、社会主義リアリズム路線に反する、と批判される。ショスタコーヴィチはただちにスターリンの植林政策を賛美するオラトリオ「森の歌」を作曲、当局へ“恭順の意”を表した。

 スターリンからにらまれることは、粛清に直結する。危険と隣り合わせに生きたショスタコーヴィチは、権力との関係を常に留意せざるを得なかった。41年に作曲された交響曲第7番「レニングラード」は当初、ファシズムへの勝利を描いているとされたが、今日ではソ連政府の暴力をも告発したと解釈される。

 大阪音楽大学の中村孝義教授は「実はショスタコーヴィチは、非人道的な社会主義体制に反抗する音楽を書き続けた。今改めて彼の交響曲に注目が集まるのは、まさに死と直面しながらも自らの意志を貫いたこの反骨の精神こそ、作品に重い意味を与えていると同時に、聴くわれわれに大きな問題を提示し続けているからといえるかもしれない」と記している。(月刊音楽情報誌「モーストリー・クラシック」編集長 江原和雄/SANKEI EXPRESS

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