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伊勢志摩サミット 対テロで決断 来年開催、伝統文化を発信

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伊勢志摩サミット 対テロで決断 来年開催、伝統文化を発信

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2016年のサミット開催が決まった、三重県志摩市の景勝地・賢島(かしこじま)=2013年3月(共同通信社ヘリから撮影)  安倍晋三首相(60)は5日、来年日本で8年ぶりに開かれる主要国首脳会議(サミット)を三重県の「伊勢志摩」で開催すると発表した。テロ対策を重視する方針を踏まえ、警備面で地理的に他の候補地より有利だったのに加え、日本の美しい自然や伝統文化を世界各国のリーダーに実感してもらう場所として最適だと判断した。

 首相は5日夕、ウクライナとドイツを訪問するため羽田空港を出発する前に記者団に対し、「日本の美しい自然、豊かな文化、伝統を世界のリーダーたちに肌で感じてもらえる場所にしたいと考えた」と説明。サミットの正式名称を「伊勢志摩サミット」にすると述べた。

 開催地をめぐっては、首脳会議の主な会場として、三重県志摩市のほか、仙台市、新潟市、長野県軽井沢町、浜松市、名古屋市、神戸市、広島市の計8カ所が立候補を表明。開催地に決まれば、建設や宿泊で数百億円規模の経済効果が見込める上、国際的な知名度向上にもつながるため、各自治体は激しい誘致活動を展開してきた。政府は宿泊施設や交通事情、開催地のメッセージ性などを総合的に検討してきた。

 首脳会談の開催が予定される賢島(かしこじま、志摩市)は、英虞(あご)湾に浮かぶ景勝地。本土とは2本の橋のみでしかアクセスできないため、交通規制や不審者の侵入阻止など、警備面で他の候補地よりメリットが大きい。近くには伊勢神宮(伊勢市)があり、日本の伝統文化を各国首脳に体感してもらうなど、外国要人をもてなす環境としてもふさわしいと判断した。

 テロの未然阻止も重視した。イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」の殺害脅迫事件を踏まえ、政府は重要施設の警備やテロリストの入国を阻む水際対策を強化しており、サミット開催地の選定でも警備面を最重要視した。

 サミットは、日本などの主要国が持ち回りで開催する。日本ではこれまで5回開かれ、1979、86、93年の計3回は東京で行われ、2000年は沖縄、08年は北海道だった。

 安倍首相は5日夕、7、8両日にドイツ南部のエルマウで開かれる主要国首脳会議に出席するため、羽田空港を政府専用機で出発した。

 ≪「日本の心」象徴する神宮 世界にメッセージ≫

 安倍首相が来年のサミット開催地を三重県の「伊勢志摩」に決めたのは、警備や交通アクセスといった実務面に加えて「メッセージ性」を重視したためだ。各国首脳に、伊勢神宮に代表される「日本の心」に触れてもらい、「クールジャパン」として注目される伝統文化を世界に発信する。ギリギリまで熟慮を重ねた首相は、そうした狙いを込めて開催地を決断した。

 「どの候補地も甲乙つけ難く、正直に言って選定は大変迷った」

 首相は「伊勢志摩サミット」発表に当たり、そう前置きし、最後まで悩み抜いたことを明かした。

 候補地の中では、伊勢志摩と並んで「復興」の仙台、「非核」の広島と、いずれもメッセージ性の強い場所が最終段階まで首相の念頭には残っていた。だが、首相は実務面も考慮のうえ、最後は「伝統文化」の伊勢志摩を選んだ。

 首相が発表で特に強調したのは伊勢神宮の存在だ。

 「伊勢神宮は悠久の歴史を紡いできた。そしてたくさんの日本人が訪れる場所であり、日本の精神性に触れていただくには大変良い場所だ」

 約20年に一度の式年遷宮など、世界的にも類例のない伝統を誇る伊勢神宮は、自然との共生という「日本の心」を象徴する存在だ。誘致に動いた三重県側も「他の宗教などを排除せず、全てを受け入れて共存する精神」や「世界平和へのメッセージ性がある」と訴えてきた。

 こうした伊勢志摩のメッセージ性は、改めて平和への誓いを世界に発信する「戦後70年」の節目にも合致。国際秩序の維持と構築により積極的に関わっていこうという首相の外交方針とも符号する。

 三重県は今年1月に立候補を表明。候補地の中では「最後発」で出遅れ感は否めなかったが、諸条件がかみあって開催地を勝ち取った。一方で首相はサミットに関連して開かれる外相会議などの閣僚会議を、落選した各候補地で開催することを検討すると表明。落選した候補地にも配慮をみせた。(千葉倫之/SANKEI EXPRESS

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