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明るさの中に暗さ 伝統の音守る ザンデルリンク ドレスデン・フィル率い来日

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明るさの中に暗さ 伝統の音守る ザンデルリンク ドレスデン・フィル率い来日

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「指揮は楽譜の背後にある意味を見いだすこと」と語った、首席指揮者のミヒャエル・ザンデルリンク=2012年6月23日。(C)Marco_Borggreve  ドイツの名門ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団が、首席指揮者ミヒャエル・ザンデルリンク(48)に率いられて来日する。ザンデルリンクはこの4月、NHK交響楽団に客演し、オーケストラをコントロールしてすっきりとしたブルックナーの交響曲第4番「ロマンチック」を聴かせた。

 父・兄も指揮者

 ザンデルリンクの父親は読売日本交響楽団の名誉指揮者を務めた著名なクルト・ザンデルリンク。また兄2人、トーマスとシュテファンも指揮者という音楽一家。自身はチェリストから指揮者に転向した。

 「父は3人の息子が指揮者になることをみな反対しました。指揮者はオーケストラがなければ、無だというのです。父親から、お前はチェリストなのだから指揮をしてはいけない、と言われ大げんかしました。チェンバー・オーケストラのチェリストをしていたとき、指揮をやってみたら、と言われました。『イエス』と言ったのが間違いでした(笑)。だから父親からではなく、オーケストラの中で学びました」

 クルト・ザンデルリンクはナチスの迫害を逃れ、旧ソ連に亡命、その後、東ドイツなどで活躍した。旧ソ連時代にはショスタコービッチと親交を結んだ。

 「ショスタコービッチは、内向的な性格でとても大きな不安を抱え、自分から多くを話す人ではなかったそうです。ショスタコービッチは多くの作曲家と同じように魂を自由にしたい、解放したいと思い書いた作曲家です。ソ連の全体主義の中で生きたので、それは曲にはっきりと示してはおらず、いろいろな鍵で思いを閉じ込めています。そのことは文化担当の政治家には分かりませんでしたが、ソ連には開ける鍵が分かる聴衆がいたのです。ですからわざと間違えたり、おかしなフレージングをつけたりしました。私はショスタコービッチをとても近くに感じます。ショスタコービッチの正しい情報を伝える義務があると思っています」

 ベートーベンがメーン

 ドレスデン・フィルとの関係は、はじめチェロの客演ソリストを務め、2004年に初めて指揮。11/12年シーズンに首席指揮者に就任した。来日プログラムはベートーベンがメーン。

 「ドレスデンはボヘミア地方がルーツなのです。明るさの中にダークな音が見え隠れします。歌でいうと長く伸びるような音を持っています。今日、グローバル化が進み世界中同じ音になっていっていますが、私たちはこの伝統を守っていきたい。首席指揮者の役割としては、古典派や初期ロマン派などその当時に理想とされた音を追い求めたい。日本で演奏するベートーベンの『運命』は、大きな流れのようなフレージングではなく、小さなフレージングをつなげていきます。ベートーベンの時代はそうしていました」

 現在、ドレスデンでコンサートホールの建設が進んでおり、レコーディングの新プロジェクトがある。

 「私たちは本拠となるホールを持っていません。市内5カ所でコンサートをしていますが、17年に新しいホールができます。社会主義時代の文化宮殿の中を改築し、1860席のワインヤード形式のホールです。また、ベートーベンの交響曲9曲とショスタコービッチの交響曲15曲を組み合わせて録音します。これを2020年に完成させる予定です。20年はベートーベンの生誕250年、ドレスデン・フィルが誕生して200年の記念の年です」(月刊音楽情報誌「モーストリー・クラシック」編集長 江原和雄/SANKEI EXPRESS

 【ガイド】

 7月6日(月)19:00  サントリーホー。ミヒャエル・ザンデルリンク(指揮)、ドレスデン・フィル、清水和音(ピアノ)

 ベートーベン:「フィデリオ」序曲、ピアノ協奏曲第5番「皇帝」、交響曲第7番。他、各地で公演。<問い合わせ>ジャパン・アーツぴあ (電)03・5774・3040

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