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政治
政府・自民 会期9月上旬で調整 派遣法改正 民主「妨害」で徹底抗戦
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頸椎捻挫の診断書を手に記者団の取材に応じる渡辺博道厚労委員長=2015年6月12日午後、国会内(酒巻俊介撮影)。※画像を一部加工しています。 政府・自民党は12日、6月24日に会期末を迎える今国会を9月上旬まで延長する方向で調整に入った。安全保障関連法案の審議が難航し、衆院採決が7月上旬までずれ込む見通しを踏まえたものだ。ただ、9月は自民党総裁選や外交日程が集中していることもあり、8月中の国会閉幕を求める声もある。政府・自民党は審議状況を見極め、来週中に具体的な日程を決める。
衆院平和安全法制特別委員会は12日に一般質疑を行い、安保法案に関する通算の審議時間は42時間(野党欠席分も含む)となった。
自民党の佐藤勉国対委員長(62)は、採決までの審議時間の目安を「80時間」と述べている。自民党は当初、会期末である24日までの衆院通過を目指していたが、日本年金機構から個人情報が流出した問題の余波などで審議が停滞。自民党国対幹部は「今後順調に審議が進んでも、審議時間が80時間に達するのは最速で7月に入ってから」と説明する。
このため、高村(こうむら)正彦党副総裁(73)は12日の党役員連絡会で「必要かつ十分な審議ができるような会期を取ってほしい」と、大幅延長を主張。党幹部は、法案が参院送付後61日目以降に衆院で3分の2以上の賛成による再可決が可能となる「60日ルールの適用も考えたい」とも述べるなど、“異例”の大幅延長が浮上した。ただ、安倍晋三首相(60)は9月下旬の国連総会に出席する予定で、直前には自民党総裁選などが控えている。また、党内には「与党が衆参多数を占めているのだから、早期採決をためらうべきでない」(閣僚経験者)との意見も根強い。このため、延長幅を8月末までに抑える案も残っている。
≪派遣法改正 民主「妨害」で徹底抗戦≫
衆院厚生労働委員会は12日、与党が目指した労働者派遣法改正案のこの日の採決を先送りした。反発する民主、共産両党に配慮した。だが、渡辺博道委員長(64)=自民=が改正案の質疑終了を宣言したことに民主党は“審議妨害”で徹底抗戦し、渡辺氏が負傷する事態も勃発。与党は19日には採決に踏み切る構えで、来週も激しい攻防が展開されそうだ。
民主党は12日朝から国会内に若手議員らが集まり、厚労委の“妨害”に向けた作戦を練った。委員室前の配置を書き込んだ図面も用意し、山井和則元厚労政務官(53)は「体を張ってがんばろう!」と気勢を上げた。
作戦は予定通り実行。委員室前には党所属衆院議員の半数近い約35人が陣取って渡辺氏を取り囲み、委員室への入室を阻止しようと試みた。
渡辺氏は厚労委終了後、首を痛めたとして病院で全治2週間の診断を受け、携帯電話を紛失したことを記者団に明らかに。警視庁への被害届提出を検討する考えも示した。また自民党は、審議を妨害したとして山井氏と中島克仁氏(47)、阿部知子氏(67)の懲罰動議を衆院に提出した。
怒号と激しいもみ合いの末、約5分遅れで審議は始まったが、民主党議員は着席せず、立ったままやじを飛ばす作戦を展開。民主党の質問時間になってもやじを飛ばし続け、安倍晋三首相は審議を欠席した共産党の質問時間と合わせ約1時間、着席したまま待機。にもかかわらず、予定時刻が過ぎて委員室を出る首相に「逃げるのか!」と罵声を浴びせた。
民主党は共産党とともに平和安全法制特別委員会など衆院の他の4委員会も欠席。質疑を求めながら質疑をせずに審議を妨害する“矛盾”について、民主党の岡田克也代表(61)は12日の記者会見で「こういったやり方も場合によってはやむを得ない」と正当化した。
民主党がここまで強気なのは、安全保障法制をめぐる安倍政権への世論の反発が高まっているとにらんでいるからだ。第1次安倍政権を「消えた年金」問題の末に退陣に追い込んだ再来を狙おうとの思惑もあり、野党路線を貫いたわけだ。
一方、与党は採決先送りで事態の収拾に動いた。派遣法改正案を12日の厚労委で可決した場合、本会議の採決は16日となる見通しだった。だが、16日の本会議では、今月1日に70歳で亡くなった町村信孝前議長の追悼演説が予定され、「波静かに迎えたい」(派閥領袖級)との配慮もあった。
結局、これ以上の混乱は安保関連法案の審議にも悪影響を及ぼすと判断した自民党の佐藤勉国対委員長は12日、民主党の高木義明国対委員長(69)と会談し、15日に国会の正常化に向けた与野党国対委員長会談を行うことで合意した。会談後、佐藤氏は記者団に「いい方向に進んでいる」と話した。
その言葉通り、与野党は15日に平和安全法制特別委員会で一般質疑を行うことを決め、17日に厚労委の質疑、18日に予算委員会の集中審議をそれぞれ行うことでも大筋合意した。ただ、派遣法改正案の今国会成立を目指す与党は、19日の厚労委での採決は譲らない構えで、再び怒号の中の審議が繰り返されることになりそうだ。(SANKEI EXPRESS)