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【エコノナビ】席を譲られたくない高齢者
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「勇気振り絞って席をゆずってみた。『大丈夫です』とけげんそうに断られたそのあと。きまり悪そうに一人分あいたまんまのシート」
シンガー・ソングライター、高橋優(ゆう)の最新作「明日はきっといい日になる」の歌詞の一節である。
同じような経験をした人は少なくないのではないか。「お年寄りや妊婦、子供連れなどに席を譲りましょう」と教えられ、車内放送でも促される、いたわり合い、助け合いの精神。それを発揮しようと思って行動に移したのに、受け入れられないと気まずいし、ちょっと落ち込んでしまう。
しかし、席を譲られた側から見ると、意外に違った風景が見えてくるかもしれない。
断ったその人は年寄り扱いされるのが嫌なだけじゃなく、実は加齢に負けずに筋力を維持しようと「電車の中では座らない」と決めているのかもしれない。先日、京急電鉄の車内でお年寄り2人が健康談議に熱中のあまり、車内でストレッチ体操をしたり、大腿(だいたい)部の筋肉のかたさを競ったりしているのを目撃した。
文部科学省の「2013年度体力・運動能力調査」によれば、高齢者は週1回以上運動する割合が男女とも約7割。フィットネスジムなどに通って運動を欠かさない高齢者の割合も増えているという。
一般社団法人の日本生活習慣病予防協会によれば、こうした高齢者に比べ、「仕事や家事が忙しい35~39歳の男性や35~39歳の女性の体力・運動能力はこの15年間でゆるやかな低下傾向にある」そうだ。
背筋がピーンと伸びたお年寄りは格好いい。元気なお年寄りが確実に増加している。もう高齢というステレオタイプの見方で席を譲るのはやめにして、その人の姿勢や体つきをしっかり観察しよう。
高橋優の歌詞では「くたびれた顔で電車の中揺られている人」だと思ったから譲ったのに断られたとある。しっかり観察した揚げ句の拒絶もある。それも元気な高齢者が増えているならと笑い飛ばそう。(気仙英郎/SANKEI EXPRESS)