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維新、安保対案提出へ 橋下氏「酷評」一転 党結束へ「我慢」
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維新の党の安全保障政策に関する会合に出席した橋下(はしもと)徹最高顧問(中央)は松野頼久代表(左)と握手を交わした=2015年6月20日、大阪市中央区(沢野貴信撮影) 維新の党最高顧問の橋下(はしもと)徹大阪市長は20日、安全保障関連法案の対案をめぐり大阪市で開いた会合で、今後の対応を松野頼久代表ら執行部に一任する意向を伝えた。会合では、対案に関する橋下氏の意見を参考に、23日の執行役員会での対案決定を目指して議論を続けることを確認した。対案を正式決定後、24日までの国会会期の延長幅について調整を進める与党の動きを見て提出時期を決める。
24日から自民、公明両党や民主党に対案への賛同を呼び掛ける方針。政府、自民党は維新の党と修正協議を行う構えだが、松野氏は既に「修正協議に応じるつもりは全くない」と明言している。対案に基づく修正協議の有無が焦点となる。
橋下氏は会合で対案に関し「疑問は完全に解消した。最後は皆さんにお任せする」と表明。同時に「維新は独自案を出して与党と対決するのがいい。現実的な対案で論戦するのはいい」と述べた。出席者によると、会合で修正協議は話題に上らなかったという。松野氏は記者団に「橋下氏から疑問点は全部もらった。見解の違いはなく、価値観の共有は十分できている」と強調した。
対案は19日、党安保調査会がまとめた。政府が集団的自衛権行使の要件とする「存立危機事態」の概念を基本的に受け入れる一方、中東・ホルムズ海峡での停戦前の機雷掃海など経済的危機を理由とした行使は認めない内容とし、政府案に比べ適用を厳格化した。
橋下氏はこれまで、対案について「国民の理解は得られないし、維新の思想も発信できない」と批判していた。
≪橋下氏「酷評」一転 党結束へ「我慢」≫
維新の党が安全保障関連法案の対案を今国会に提出する見通しとなった。党最高顧問の橋下(はしもと)徹大阪市長は対案への批判を強めていたが、一転して矛を収めた。党内外で「分裂危機」がささやかれる現状を意識し、橋下氏もひとまず結束演出が得策と判断したとみられる。だが「与党協調」か「野党共闘」かの路線問題はくすぶったままだ。
「後世に悔いが残らないよう、われわれの考えをまとめる機会にしたい」。松野頼久代表は20日、安保法案の対案をめぐり大阪市内のホテルで開いた会合の冒頭、こう強調した。橋下氏や党顧問の松井一郎大阪府知事が居並ぶ中、柿沢未途幹事長は国会議員がまとめた対案について「精緻で専門的な議論を積み重ねてきた」と訴えた。
橋下氏は「今回の対案で安保問題の何が解決できるのか」と口火を切り、小野次郎安全保障調査会長らが説明を続けた。討議は約2時間半に及んだ。最後に松野氏が了解を求めると、橋下氏は「100パーセント完璧だ」と、あっさり納得してみせた。
安倍晋三首相らと14日に会談した橋下氏は、この直後からツイッターで、維新の対案について「国民の理解は得られない」「政府案に難癖を付けている程度」と酷評していた。それだけに幹部の一人は「拍子抜けした」と感想を漏らした。
松野氏は協議後「非常に心配していたが、驚くほど価値観が一致していた」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。
伏線があった。対案をめぐる論争激化で党分裂を懸念した江田憲司前代表は連日、橋下氏と連絡を取り「あなたの見解こそ国民に受け入れられない」と説得を重ねた。同時に「意見を20日に聞くのだから、ツイッターでの発信はやめてくれ」とくぎを刺した。
江田氏は20日未明、周辺に「橋下氏と議論したが、すべて論破した」とのメールを送信。自身は先約があるとして参加しなかったが、対案に賛同する「論点メモ」を会場で配布させた。
拳を下ろした橋下氏について党関係者は「納得したわけがない。分裂を避けるために、我慢しただけだ」と解説した。野党再編路線の江田氏、与党協調路線の橋下氏とも対案提出などで独自色を発揮すべきだとの点では一致したとみられるが、この関係者は「橋下氏はまた発信する」と対立再燃を予言した。
24日に会期末を迎える今国会の延長幅を22日に決める与党は維新の動きに神経をとがらせる。安保法案審議は当初の想定より遅れ、2カ月超の大幅延長論が浮上している。
自民党幹部は、維新の対案について「与党がのめる案になるのか」と疑心暗鬼だ。長期間の与党協議を経た法案の修正は不要というのが本音で、特に公明党には「自衛隊の海外派遣に歯止めをかけた」(幹部)との自負がある。
それでも首相官邸を中心に維新との修正協議に望みをつなぐのは、各種世論調査で法案への反対論が根強いためだ。修正協議で野党第2党を抱き込めれば、国民の理解が進むのではないかとの期待がある。
仮に協議に至らなくても維新が対案を提出した場合、法案審議の促進につながり、採決出席がかなえば、「『強行採決』との批判を避けられる」(自民党幹部)との思惑がのぞく。(SANKEI EXPRESS)