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サムスン式経営 MERSで矢面に

 世界企業であり、韓国巨大財閥のサムスングループが“ウイルス”に揺れている。「韓国最高の病院」と称された系列のサムスンソウル病院が中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルスの最大の感染源になることを許したからだ。病院にも導入した「サムスン式合理経営」にも批判が向けられ、それ以上に、この病院を「聖域」扱いし、感染拡大を見逃した韓国政府の責任がより問われている。

 院長は「説教聞く小学生」

 6月18日付韓国各紙は、朴槿恵(パク・クネ)大統領(63)に叱責されるサムスンソウル病院の宋在●(=君の下にレッカ、ソン・ジェフン)院長(56)の写真を掲載した。保守系最大手紙の朝鮮日報(以下、記事はいずれも電子版)は19日の社説で、朴大統領の前に立つ宋院長を「教師の説教を聞く小学生のようにうなだれていた」と描写し、「これに拍手を送った国民も少なくなかった」と指摘した。

 サムスングループ傘下の社長らが、「頭を上げられないほど恥ずかしく、申し訳ない」とコメントしたことも紹介した。

 サムスンソウル病院は、別の病院から来たMERS感染患者が院内を歩き回るのを許したうえ、感染した医師や患者の搬送担当職員を勤務させ続け、結果的に韓国内で確認された150人以上の感染者の実に半数がこの病院を通じた感染という最大の感染源になってしまったのだ。

 効率・収益重視が遠因か

 宋院長は、韓国の感染学会理事長を経て、現在、アジア太平洋感染研究財団理事長を務めているといい、朝鮮日報は15日の社説で、「これほどの権威者がいる病院で、ここまでずさんな管理が行われていたとは、にわかに信じられない」と記した。

 その上で、「医師1人当たりの売上高と利益率を調べるなど、効率性と収益を何よりも重視するサムスン式の経営スタイルをこの病院にも適用していた」点を挙げ、収益と効率を追求する「考え方が、結果的に国民の生命と安全を危険にさらし、国の医療システム全体を大きく揺るがしている」と厳しく非難した。

 左派系紙ハンギョレ(16日)に寄稿したシンクタンク所長も「『管理のサムスン』だったはずではなかったか」と世界企業に成長させたグループの経営スタイルに疑問を投げかけ、「利潤最大化に最適化された意思決定基準が病気の治療に適合するはずがない」と批判した。

 権威ゆえに、判断を全て病院側に丸投げし、病院の「治外法権化」を放置した政府の甘さにも批判が相次いだ。

 東亜日報は、16日社説で「(韓国)保健福祉省がサムスンソウル病院を防疫体系の『聖域』とみなして手を付けなかったため、隔離者の選定や管理に穴が開き、病院で感染した患者が全国至る所に広まった」と論じた。「国と病院の癒着」を勘繰る論調も現れた。

 大統領の「記者会見見たい」

 宋院長に情報の公開を迫り、叱り付けた朴大統領に対して、19日の朝鮮日報社説は、「政府が情報公開をためらったことへの反省や謝罪を一切していない」とも指摘。「何を理由にサムスンソウル病院をここまで責め立てられるのか」と問うた。

 朴大統領は訪米を中止し、医療関係者を激励する場面などを公開し、MERS対策を陣頭指揮する姿をアピールしている。それでも、市場で市民と交流する様子を宣伝するといった広報戦略には、「国民の思いや現場の状況を把握できているか疑問視する声が絶えない」(朝鮮日報)などと、世論の支持は広がっていないようだ。

 中央日報の社説(12日)は、昨年の旅客船「セウォル号」沈没事故当時と同様、国家的危機にあっても記者会見を1度も開いていないことに疑問を呈した。エボラ出血熱を封じ込める決意を記者会見で語り、「国民を安心させた」バラク・オバマ米大統領(53)と比較し、「疎通力が不足すると、政府に対する国民の不信感は容易に拭えない」と強調し、朴大統領にこう注文した。

 「MERSでは『密接』が禁物だ。しかし、大統領には密接が重要な技術だ。専門的でなくても、率直で自信を持った記者会見を見てみたい」(国際アナリスト EX/SANKEI EXPRESS

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