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コンビニ大手 3社が増益、セブンは最高更新 「健康」「高級」…独自商品

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コンビニ大手 3社が増益、セブンは最高更新 「健康」「高級」…独自商品

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サークルKで販売される店内で揚げた総菜=2015年6月26日、東京都中央区(共同)  コンビニ大手5社の2015年3~5月期単体決算が8日、出そろった。本業のもうけを示す営業利益は、ミニストップが前年同期比71.4%増の3億円となり、3~5月期として4年ぶりに増益に転じた。セブン-イレブン・ジャパン、ファミリーマートを加えた3社が増益を確保した。

 ミニストップは、ソフトクリームなどのデザートのほか、刷新した総菜のコロッケやメンチカツなどの売れ行きが好調で、収益を押し上げた。

 セブンは5.1%増の580億円となり、3~5月期の最高を更新した。食品メーカーと共同開発した自主企画商品や、いれたてコーヒー、ドーナツの売り上げが増加した。ファミマも、カウンター近くで販売するデザート飲料が伸び、27.8%増の104億円と堅調だった。

 一方、加盟店支援の経費がかさんだローソンは5.7%減の153億円。店舗の開発費用が負担になったサークルKサンクスが14.0%減の23億円だった。

 ≪「健康」「高級」…独自商品≫

 弁当や飲料、日用品などさまざまな商品を扱い都市部の日常生活に欠かせないコンビニ。業界全体で全国5万店を超え、飽和状態と言われる。そうした中で、健康を意識した商品や高品質の独自商品に力を入れたり、店内に飲食スペースを設置したり、各社それぞれに特徴を打ち出している。客のニーズに合わせて個性化を進めることで生き残りを図りたい考えだ。

 売りは糖質カット

 6月下旬、東京都品川区のローソンの店舗。昼食を買いに来た会社員の50代女性は、カボチャやトマトなどが入ったサラダを手に、普通のロールパンより糖質を約83%カットした「ブランパン」の棚へ向かった。「健康を気にしているので、いつもサラダと低糖質のパンを買う」と話す。

 ローソンは健康志向を前面に押し出す。これまでも東京周辺で約120店展開する「ナチュラルローソン」では、管理栄養士が考えた、塩分を3グラム未満に抑え、材料の品目を多くした弁当を販売。昨年からローソンの店舗でも一部販売を始め、5月以降、順次導入した抗酸化作用があるリコピンを多く含むトマトのパスタサラダやデザートは好調な売れ行きだ。

 直接要望を聞く

 セブン-イレブン・ジャパンは、同じグループのスーパー「イトーヨーカドー」などと共同で、品質や味わいを高めた独自の商品を食品会社と開発している。6月にはキリンビールと共同開発したビール「セブンゴールド まろやかエール〈無濾過〉」を発売した。

 利用客の声も積極的に商品開発や品ぞろえに取り入れる。店舗担当者の意見を商品開発に反映させるほか、全国9エリアごとに食品の味を変え、地域性を出している。全国約1万3300店で実施する弁当や日用品の宅配サービス「セブンミール」は、これまではあまりコンビニを利用していなかった高齢者や主婦の要望を直接聞き取る、新たな機会になっている。

 千葉県市原市で平日の昼食用に宅配サービスを利用する間野健さん(66)は「たまに散歩がてら店にも行く。日本酒など欲しい物がそろっている」と喜ぶ。

 飲食スペース

 統合協議が進んでいるファミリーマートとサークルKサンクスは、これまでの客層で最も多かった30~40代男性向けの商品に注力しつつ、新たな客を喫茶店やスーパーから呼び込む作戦だ。

 ファミリーマートは、男性をターゲットにした「俺の」シリーズを2013年6月に約2年ぶりに復活。ボリュームのある総菜やデザートで若者の人気を集める。

 新店舗には飲食スペースを設けるようにし、現在約3000店に広がっている。東京都港区に5月にオープンした店舗には、22席を用意。近くの会社に勤める40代男性はコーヒーとドーナツを口にしながら「休憩で週2回は使う。お菓子が充実している」と評価する。

 サークルKサンクスは、仕事や子育てに忙しい女性の来店も増やそうと、店内で揚げた総菜の販売を拡充。空揚げやアジフライなど1パック108~220円とスーパーの総菜並みの価格で、夕飯のおかずにしてもらう考え。

 コンビニ各社の顧客争奪戦は他業態を巻き込みながら一段と激化しそうだ。(SANKEI EXPRESS

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