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安保法案、あすにも委員会採決 自民が打診 「現実問題」「違憲」 すれ違う有識者
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衆院平和安全法制特別委員会の公聴会に出席した(右から)岡本行夫(ゆきお)氏、東京慈恵会医科大学教授の小沢隆一(りゅういち)氏、首都大学東京法学系准教授の木村草太(そうた)氏、同志社大学法学部教授の村田晃嗣(こうじ)氏、法政大学法学部教授の山口二郎氏=2015年7月13日午前、国会・衆院第1委員室(斎藤良雄撮影) 自民党は13日、民主党に対し、安全保障関連法案について、15日にも衆院平和安全法制特別委員会で採決することを打診した。民主、共産両党は反発し、この日夕の特別委理事会を欠席した。与党は14日に維新の党と法案の修正協議を行う予定だが、同日中にも15日の委員会採決を正式提案する方針だ。
自民党の江渡聡徳(えと・あきのり)特別委理事は13日、特別委の審議中に、民主党の長妻昭理事に「法案を14日か15日ごろに委員会採決したい」と打診した。ただ、審議後に開かれた14日の特別委理事会での話で、自民側から正式な採決の提案はないため、14日は3時間の一般質疑を行うことだけを決めた。維新は15日に安倍晋三首相出席の集中審議を行うよう求めた。
特別委は13日、採決の前提となる中央公聴会を開催。与党側は採決に向けた環境が整ったとみている。
首相は13日の自民党役員会で「私も丁寧に説明してきて(法案への)理解が進んできたと思う」と指摘。自民党の谷垣禎一(さだかず)幹事長は記者会見で、15日に採決に踏み切る可能性について「そろそろそういう日程かと思う」と強調した。
一方、民主党の枝野幸男(ゆきお)幹事長は記者団に「『安保法制止めろ』という声が全国で大きなうねりになっている。到底採決できる状況ではない」と述べた。
維新の党は14日の修正協議が不調に終わった場合、委員会採決は退席する方針。下地幹郎特別委理事は13日、記者団に「修正協議がダメなら対案を審議する意味がなくなる」と述べた。
≪「現実問題」「違憲」 すれ違う有識者≫
衆院平和安全法制特別委員会は13日、安全保障関連法案の中央公聴会を開催し、5人の有識者が意見を述べた。与党推薦の2人は外交・安全保障という「現実論」から法案に賛成したのに対し、野党推薦の3人は「憲法論」を軸に反対論を展開。すれ違うばかりの与野党論戦を反映した。
自民党推薦の外交評論家、岡本行夫(ゆきお)氏は、日本が集団的自衛権を行使できない制約から、海外での邦人保護で他国頼りだった事例を列挙。「2000年以降でも238人の日本人が11カ国の軍用機や艦船などで救出されてきた」と指摘し、「世界が助け合っているときに『われ関せず』の態度を取り続けるのは、日本人を守る負担を他国に押しつけることを意味する」と強調した。
また、公明党推薦の村田晃嗣(こうじ)同志社大学長(国際政治)は「法案は憲法上の問題を含むが、同時に安全保障上の問題だ」と提起。憲法学者による違憲論を念頭に「安全保障の専門家に意見を聴けば、多くは肯定的な回答をするのではないか。学者は憲法学者だけではない」と述べた。
また村田氏は、集団的自衛権の行使要件など、法案の規定があいまいだとの批判に関し「国際情勢そのものがあいまいな部分を含んでいる。100%明確に定義しなければ法律として成り立たないというのは非常に難しい」と指摘した。
一方、野党推薦の有識者3人は、いずれも法案を「違憲」と断じた。
小沢隆一(りゅういち)東京慈恵会医科大教授(憲法学)は、自衛隊そのものが違憲だとの立場から意見を陳述。「憲法上、多くの問題をはらむ法案は速やかに廃案にされるべきだ」と主張した。
民主党政権のブレーンだった山口二郎法政大教授(政治学)は「日本が他国の戦争に巻き込まれずに済んだのは日米同盟のおかげではなく、憲法9条で集団的自衛権行使を禁止していたからだ」と主張。「保守本流という1960年代以降の自民党政権の方針は誠に的確だった」と語り、安全保障を米国に委ね、経済成長に徹する過去の政策を評価した。
木村草太(そうた)首都大東京准教授(憲法学)は、維新の党の対案について、一定の前提で考えれば合憲だと評価。さらに「集団的自衛権行使が憲法違反だということは政策的に不要だということまで意味しない。必要なら憲法改正手続きを踏めばよい」と述べた。(SANKEI EXPRESS)
一方、総予算や重要な歳入法案を審議する場合は、必ず公聴会を開かなければならない。また、憲法改正の場合も、改正原案に対する公聴会の開催が義務づけられている。
公聴会は、単独の委員会だけではなく、連合審査会、常任委員会合同審査会などでも開くことができる。