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「くたばっちゃいない」 力強さ健在 Ken Yokoyama
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音楽アーティスト、Ken_Yokoyama(右から2人目)=2015年4月15日(提供写真) Ken Yokoyamaの新作シングル「I Won’t Turn Off My Radio」が発売された。作品そのものだけでなく、発売のタイミングで積極的なプロモーションを展開し、地上波テレビの音楽番組に初めて出演したことでも話題となった。出演に関して本人は「(ロックシーンや人々の期待を)引き受ける、なんてことじゃないんだけどね」。昨今の音楽シーンを考えると、ロックバンドとして、バンドマンとしての自負が決断させたといえそうだ。
かつてインディーズで100万枚のセールスを記録し、主催した大型イベントでは野球場に3万人を集める、そんな影響力のあるアーティストがその力をしっかりとアピールする。ここへきて、一連の活動に出た理由は、楽曲に込められたメッセージとも共通している。
シングルのタイトルを訳すと「俺はラジオを切らないよ」。かつて新しい音楽に出合う手段として、ラジオを熱心に聴いていたという彼自身の経験から、ノスタルジーを込めたモチーフとして選んだという。時代は流れ、かつてのような音楽を紹介する大きな存在とはいえなくなったラジオと、年を取った自分自身とを重ね合わせ、それでもまだまだ音楽を鳴らし続けるのだ、と自らを鼓舞するメッセージが印象的に聴こえる。
音楽番組に出演する彼を見て、年を取ってもなおエネルギーを放ち、存在を世にアピールするその姿は、ファイティングポーズのようだ。
曲の途中で「俺はまだくたばっちゃいないぜ」と登場するラジオDJの声は、筆者が担当した。「本物のラジオDJの人にお願いしたくて、藤田君はおそらく僕と同じようなものを見てきたから、そういう人にお願いしたかった」と後に語ってくれた。
音楽を通して次の世代や子供たちに、楽しんで、そして考えるきっかけにしてほしい、という彼なりのスタンスがよく表れている4曲入りの新作は、サウンド面でも今までと違う取り組みがある。大きな変化を遂げた最大の要素は、彼の奏でるギターである。大柄で中が空洞の「箱モノギター」との出合いで、それによる新たなインスピレーションがサウンドに影響を及ぼしているのだそうだ。
45歳で2児の父である彼が、いまなお新しい刺激を受けてロックを鳴らす。優しさも併せ持つ力強い音楽が聴く者の心を動かす。(音楽評論家 藤田琢己/SANKEI EXPRESS)