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【新国立競技場】膨らむムダ 計62億円戻らず 新たに3.7億円支払い済み

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【新国立競技場】膨らむムダ 計62億円戻らず 新たに3.7億円支払い済み

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新国立競技場などについて、会談する室伏広治氏(右)と遠藤利明五輪相=2015年8月4日、東京都千代田区永田町(共同)  2020年東京五輪・パラリンピックのメーン会場となる新国立競技場の建設計画が白紙に戻った問題をめぐり、下村博文(しもむら・はくぶん)文部科学相は4日の参院文教科学委員会で、事業主体の日本スポーツ振興センター(JSC)が国内の設計会社などと契約した関連業務で、前払い金を含め約3億7000万円を支払ったことを明らかにした。すでに国内外の設計会社や工事を請け負うゼネコンに支払った約59億円と今回の判明分を合わせ、約62億円の大半が戻らず回収できない見通し。また、下村氏は「五輪に確実に間に合わせ、国民の理解を得られるようにすることが、閣僚として第一にやるべきことだ」と述べ、改めて辞任を否定した。

 新たな支払いは、次世代の党の松沢成文(しげふみ)氏への答弁で明らかにした。下村氏の答弁やJSCの説明によると、JSCは設計の進捗(しんちょく)状況などを確認する発注支援業務で、設計会社など3社と2015年度までの3年間で計約5億6000万円の契約を締結。このうち13、14年度分の計約2億9000万円と15年度分のうち前払い分として約8000万円を支払った。

 JSCの広報担当者は「13、14年度分は契約が終了しており、支払金は戻ってこない」と説明。15年度分については、業務の進捗状況によっては追加の支払いが発生する可能性があるとしている。

 支払い済みの約62億円とは別に、7月に大成建設と結んだ資材調達の契約約33億円についても発注済み分は支払い義務が発生する。JSC広報担当者は「各部署で発注状況の詳細を確認中」としている。

 新国立に関する集中審議が行われたこの日の委員会では、野党の委員から下村氏の辞任要求が出たが、下村氏は改めて否定。建設計画を担当した文科省スポーツ・青少年局長の辞職に関し「定例の人事で、責任を取らせたものではない」と述べ、更迭ではないと強調した。

 このほか、遠藤利明五輪相は、新国立の整備理念を問われ「できるだけ多くの国民やアスリートらの声を聞くことと、決定過程の徹底した『見える化』を図ることが重要だ」と述べた。

 5日には衆院文部科学委員会で質疑が行われ、7日は衆院、10日には参院の予算委員会で安倍晋三首相を交えて集中審議を実施する予定で、新国立をめぐる国会論戦が本格化する。

 ≪「シンプルがポイント」 室伏氏が要望≫

 新国立競技場の新たな建設計画策定に向けて、陸上男子ハンマー投げアテネ五輪金メダリストの室伏広治氏と、ラグビー元日本代表監督の平尾誠二氏が4日、遠藤利明五輪相と相次いで意見交換した。サッカー界が8万人収容の堅持を求め、陸上界はサブトラックの常設を訴えるなど、スポーツ界からの要望がほぼ出そろった。ただ、「政治主導」による計画の見直しはすでに進んでいるとされ、「ガス抜き」との見方もある。

 「海外の観客席は急勾配というのが一般的。どの席からもフィールドが近く見える臨場感を重視すべきだ」。平尾氏はこう訴え、ホスピタリティー機能充実の必要性を指摘した。2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会スポーツディレクターを務める室伏氏も「機能的でシンプルということがポイント。多くの人が行ってみたいと思えるようにしてほしい」と力を込めた。

 パラリンピック陸上選手の佐藤真海(まみ)さんを皮切りに7月30日から始まったアスリートらへのヒアリング。計画見直しの前までは「蚊帳の外」に置かれていたスポーツ界にとっては巻き返しの機会を得た形だ。招致活動で活躍した佐藤さんは「アスリート・ファーストの原点に戻るいいきっかけ」と評した。

 もっとも要望は多岐にわたる。将来のW杯開催を念頭に置く日本サッカー協会は、国際サッカー連盟が定める常設での8万人収容を主張。日本陸連も国内外の大会開催条件となるサブトラックを常設で求め、日本オリンピック委員会(JOC)はテスト大会との兼ね合いで完成時期を、19年末に前倒しするよう要望した。

 遠藤五輪相は「あまり高額になると、国民に喜んでもらえない。レガシーや機能、日本の建築技術をどう組み合わせるかは大変」と本音を漏らした。平尾氏も「コストの問題もある。強いリクエストはしにくい」と打ち明けた。

 アスリートからのヒアリングに加え、政府は4日、新国立競技場に関するアンケート形式の意見公募をインターネット上で始めた。東京五輪・パラリンピックのメーン会場に見合う仕様の在り方やコスト、大会後の活用方法をめぐって意見を寄せてもらい、整備計画に反映させる考えだ。

 しかし、政府内では、陸上サブトラックについて少なくとも東京五輪は仮設で実施する方針を固めるなど、水面下で新計画の策定に向けた動きが加速している。アスリートら現場の意見や国民の声がどこまで反映されるかは未知数だ。(SANKEI EXPRESS

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