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政治
【新国立競技場】安藤氏「総工費もっと下がらんか」 アーチ中止案には牽制
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新国立競技場の建設計画について記者会見する安藤忠雄氏(左)=2015年7月16日午前、東京都千代田区のホテル(大西正純撮影) 2020年東京五輪・パラリンピックのメーン会場となる新国立競技場(東京都新宿区)の建設計画に関し、デザイン採用を決めた審査委員会で委員長を務めた建築家の安藤忠雄氏(73)が16日、東京都内で記者会見し、「審査委員会の実質的な関わりはコンペの最優秀賞を選んだところまで」などと主張。総工費が2520億円に膨らんだ現状には「もっと下がらないのか」と削減を求める一方、政府内で建設計画の縮小案が浮上していることには「(デザイン案は)国際公約だから外せない」と牽制(けんせい)した。
総工費が問題化して以降、安藤氏が公の場で説明するのは初めて。
審査委員会が2012年11月に選んだイラク出身の女性建築家、ザハ・ハディド氏(64)のデザインは2本の巨大なアーチが特徴で、費用が高騰した要因と指摘されてきた。安藤氏は選考の経緯について「実際にはアイデアのコンペだ。徹底的なコストの議論にはなっていないと思う」と説明。デザイン選定後にコストが増大した過程では事業主体の日本スポーツ振興センター(JSC)から一切説明がなかったと主張し「選んだ責任はあるが、頼まれたのは選出まで」と、コスト増の責任は認めなかった。
安藤氏は、JSCが7日に開いた有識者会議を自己都合を理由に欠席し、この日の会見で陳謝した。総工費が2520億円に膨らんだ問題をめぐっては、2本の巨大なアーチの建設をやめ、建設計画を縮小する案が浮上している。
一方、菅義偉(すが・よしひで)官房長官(66)は16日の記者会見で、新国立競技場への批判が相次いでいることに関し、計画の見直しを含め対応を検討していることを明らかにした。「さまざまな意見に耳を傾けながら、国民負担が生じない工夫をできる限りしていかなければならない」と述べた。
菅氏は現行の建設計画について「各方面から慎重な意見が数多く出ている。もっともな指摘も多々ある」と強調。建設計画の経緯について「検証は当然必要だ」と語った。
≪笑い混ぜ持論 「選んだ責任はある」≫
新国立競技場の総工費が問題化して以降、初めて公の場でデザイン選定理由などを説明した安藤忠雄氏。約30分間の記者会見では、柔らかい関西弁で時折会場の笑いを誘いながら、総工費膨張への自らの関与を重ねて否定するなど終始マイペースの対応を見せた。
「大阪から来たんか。ほっとするわ」。建築界のノーベル賞とされるプリツカー賞を受けた世界的建築家。巨額の総工費や難工事に伴うデザインに批判が集まって以降、初めて開いた会見には、約200人の報道陣が集まった。冒頭はやや緊張感がみられたが、地元・大阪の顔なじみの記者を見つけると、おどけた調子で声をかけて会場の笑いをとった。
JSCが建設計画案を報告した7日の有識者会議への欠席に批判が集まったことには「『出席しなかったから、全て安藤の責任だ』というのは、ちょっと分からないなぁ…」とぼやきながらも、当日は講演会と昨年行った手術の影響で体調がすぐれず欠席したと説明。「申し訳ないと思っている」と素直に陳謝し、それ以上の批判を封じた。
質疑を続ける中で自分のペースをつかむと、“安藤節”も少しずつ炸裂(さくれつ)。総工費の高騰を招いた女性建築家、ザハ・ハディド氏のデザイン選定の責任を問われると、「選んだ責任はある」と認めながらも「(総工費の)2520億円は私が決めたわけではない」と話し、批判が噴出する総工費の膨張に“関与”したとみられることに不快感をのぞかせた。
与野党などから見直しや採用破棄への圧力が高まるハディド氏のデザインについても「何よりもシンボリック。一人の人間として言わせてもらえば、残してほしい」と率直に本音を吐露。
高すぎる総工費の解決策については、工事を請け負うゼネコン業者に矛先を向け、「もうからなくても『日本の国のために、日本の誇りのために頑張る』と言っていただけたら、値段もうまくいく」とざっくばらんな物言いで、近くで見守るJSC幹部らも眉をひそめる一幕もあった。
20分間の会見予定の終盤、司会者が質問を制限すると「なんぼでもいいですよ」と質問を促す安藤氏。ただ、10分程度延びた段階で「最後の1問だけ」と今度は自ら仕切り役に。「どうもありがとうございます」。会見を終えた安藤氏は頭を下げて笑顔で会場を後にした。(SANKEI EXPRESS)