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川内原発、あすにも再稼働 判断責任押し付け合い 自治体困惑
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九州電力川内(せんだい)原発の1号機(右)と2号機=2014年10月、鹿児島県薩摩川内市(共同) 九州電力は川内(せんだい)原発1号機(鹿児島県)について、11日にも原子炉を起動し、再稼働する。2011年3月の東京電力福島第1原子力発電所の事故後に作成された新規制基準のもとでは初めて。13年9月に関西電力大飯原発(福井県)が停止して以来、原発の稼働は1年11カ月ぶりとなる。
九電関係者によると、最終検査が続いているため、再稼働の日時は10日の午前中に判断する。
この日のうちに再稼働も可能だが、慎重を期して11日に実施する案が有力。ただ10日の検査の進捗(しんちょく)次第で延期になる可能性も残っているという。
1号機では4日から原子炉内の温度と圧力を徐々に上げて、設備や機器が正常に動くか確かめる再稼働前の最終検査を行っている。5日には原子力規制委員会が運転開始から30年を超える運転を認可した。
原子炉の起動は核分裂反応を抑える制御棒を炉心から引き抜くことで開始。起動後、10~15時間程度で核分裂反応が連続する「臨界」状態に達する。
起動から3日ほどで発電、送電を始め、出力を徐々に上げていき、原子炉がフル稼働する「定格熱出力一定運転」に移行する。
約1カ月かけて運転しながら検査を行い、9月中には営業運転へ復帰する。
≪判断責任押し付け合い 自治体困惑≫
川内原発の再稼働が目前に迫っても、再稼働の判断責任が最終的にどこにあるのか明確ではない。安全性を審査する原子力規制委員会は「再稼働の判断には立ち入らない」と明言する一方で、政府側は「規制委で安全性が確認されれば、地元了解の上で、原発の運転を順次再開していく」と説明し、判断責任を事業者に押し付ける。困っているのは地元自治体で、政府の関与の明確化を求める動きが強まっている。
規制委の田中俊一委員長は5日の記者会見で、再稼働の判断主体を問われると「規制委が判断しなければいけない理由は何もない。ただ、再稼働して大きな事故を起こさないかどうかという意味での審査はきちっとした」と述べた。規制委は発足当初に「再稼働判断は事業者と経済産業省が担当すべきだ」との共通見解をまとめている。
規制委は技術的な専門家集団であり、再稼働を前提とした審査との印象を与えてしまうと、これまでの規制機関と何ら変わらないため、再稼働の可否判断は別だという考えだ。
これに対し、宮沢洋一経産相は4日の会見で、「規制委が厳しい基準に適合しているかを判断した。まさに事業者が最終判断をして、再稼働に至る法制度だ」と事業者に判断責任があるとの考えを示した上で、「政治判断の余地はない」と強調した。
東京電力福島第1原発事故後、2012年7月に関西電力大飯原発3、4号機(福井県)が再稼働した際は「政治判断」だった。当時は民主党政権下で、野田佳彦首相(当時)が「国民生活などへの影響を勘案し、政府が最終的に責任を持って判断する」と述べ、関係閣僚会議を開いて政治決断を下した。
しかし現在、国策である原発の推進について、政府が関与しないことに地元自治体は納得がいかない。結局、再稼働に対する「地元の同意」が最も重い決断となってしまうからだ。
川内原発の地元である鹿児島県の伊藤祐一郎知事は、地元同意の前に国の責任を明確化した文書を政府に要請した経緯がある。全国知事会も再稼働の条件として、国の責任と手順の明確化を盛り込んだ提言をまとめた。
同じく新基準に7月に合格した伊方原発のある愛媛県の中村時広知事も「事故が起こったときの最終責任は誰が取るのかということを明確化する必要がある」と訴えている。(原子力取材班/SANKEI EXPRESS)