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中東歴訪突いたイスラム国 和平支援は好意的評価受けたが… 限られる交渉手段

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中東歴訪突いたイスラム国 和平支援は好意的評価受けたが… 限られる交渉手段

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 中東歴訪最終日の朝、安倍晋三首相の元に飛び込んできた過激派「イスラム国」とみられる集団による日本人2人の殺害予告の一報。首相は今回の外遊でイスラム国対策として2億ドルを拠出し、「テロとの戦い」での連携を表明したばかり。イスラム国側は、そのタイミングに合わせてきたとみられる。

 「人命を盾にとって脅迫することは許し難いテロ行為であり、強い憤りを覚える」

 首相は20日午前10時45分ごろ(日本時間同日午後5時45分ごろ)、当初の予定より約1時間遅れで始まったエルサレムでの記者会見でこう述べ、テロに屈しない姿勢を重ねて強調した。

 安倍首相はその約3時間前、殺害予告のビデオ声明をネット上で確認した外務省から報告を受けていた。首相自身も確認し、午前9時ごろ(同午後4時ごろ)に菅(すが)義(よし)偉(ひで)官房長官に対して(1)事実関係の確認に全力を尽くす(2)関係各国と協力し、人命第一に対応する-ことを指示した。

 安倍首相がテロとの戦いに強気の姿勢を示すのは、中東歴訪で打ち出した中東和平に向けた非軍事分野の支援が各国で好意的に受け止められたことが大きい。エジプトの英字紙「エジプシャン・ガゼット」が安倍首相とシーシー大統領との会談を1面で報じたほか、イスラエルで最大の有料新聞「イディオト・アハロノト紙」は、日本とイスラエルの連携強化などに関する安倍首相の寄稿に「真の友からの提案」と見出しを付けた。

 そうした中で起きた殺害警告。イスラエルのネタニヤフ首相が首脳会談で「日本が巻き込まれる可能性もある」と述べていたことが現実となった。

 安倍首相は記者会見で、2億ドルが避難民に食料や医療を提供するための支援だと強調。会見後には再び菅氏と連絡をとり「あらゆるメディアを使って人道援助だと発信する必要がある」と指示した。

 安倍首相はパレスチナのアッバス議長との会談後、エルサレムに戻り、ヨルダンのアブドラ国王に電話で「早期解放に向けた支援をいただきたい」と協力を要請。国王は「あらゆる協力を行う用意がある」と応じた。

 トルコのエルドアン大統領らにも協力を求めたが、軍事的な対抗措置を持たない日本にとって、テロ組織との交渉手段は限られている。(エルサレム 沢田大典)

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