スズキと独フォルクスワーゲン(VW)の資本・業務提携解消をめぐる係争が大詰めを迎えている。VWが所有するスズキ株の扱いについて、ロンドンの国際仲裁裁判所が年内に裁定を下すとの見方が強まっているためだ。提携解消を望むスズキが自社株を取り戻せれば“離婚”が成立するが、認められなければVWがスズキを支配下に置くために敵対的買収に動く可能性がある。
「夏季休暇が明ける9、10月には大きな動きがあるのではないか」。自動車大手幹部はそう予想する。
VWは3月に発表した2013年の決算報告で年内に仲裁結果が出るとの見通しを示した。スズキは交渉経過は明かせないとする一方、鈴木修会長兼社長も今年に入り「何らかの形で早く終結したい」と話している。
スズキとVWは09年12月に環境技術や小型車開発で提携。VWがスズキの発行済み株式の19.9%を取得し、筆頭株主となった。
だが、スズキはVWから思うように技術供与を受けられないと不満を募らせる一方、VWはスズキが伊フィアット(現・フィアット・クライスラー・オートモービルズ)からディーゼルエンジンの調達を決めたことを契約違反と指摘した。両社の関係はこじれ、スズキは提携をやめて自社株を買い取ると通告。VWはこれに応じず、国際仲裁裁判所に裁定が委ねられた。