金融危機の元凶となった「サブプライムローン(低所得者向け)」が、米国で“復活”している。当時は住宅ローンが問題視されたが、今度の主役は自動車ローン。緩やかな景気回復を追い風に貸し出しが拡大しており、デフォルト(債務不履行)リスクも懸念され、リコール問題に揺れる米自動車市場と世界経済を襲う新たな「爆弾」となりかねず、当局も警戒を強め始めた。
販売店主の不安
米バージニア州アーリントンのハイウェイ沿いにある自動車販売店。最近は土日ともなれば、買い替えなどで車を物色するドライバーでにぎわう。ところが、中国系のオーナーの表情はなぜかさえない。
「稼げるときに稼いでおかないといけないから、営業に力を入れている。ただ、この先本当に大丈夫かと不安にもなるんだ」
8月の米新車販売は前年同月比5・5%増の158万6015台。6カ月連続で前年実績を上回り、8月としては2003年以来、11年ぶりの高水準をつけた。緩やかながら続く米景気の回復と、米連邦準備制度理事会(FRB)の量的緩和政策による低金利が追い風となっている。