東証マザーズ上場で、記念の鐘を鳴らすヒューマンウェブの吉田社長=3月19日、東京証券取引所【拡大】
生ガキなどのシーフードを提供する飲食店「オイスターバー」を全国展開するヒューマンウェブが3月19日、東証マザーズ市場に新規株式公開(IPO)した。起業からほぼ15年かけて上場に至るまでには独自の工夫で安全性を確立し、生ガキの食文化を広めてきた苦労があった。新たなステップとして「完全に安全なカキ」(吉田●則社長)を目指し、独自の陸上養殖によって一年中出荷できる生産体制確立に挑む。
同社がカキの陸上養殖の研究を進めてきたのは、2000年の創業以来、順調に飲食店数を拡大していた06年に起きたノロウイルスによる食中毒の風評被害で「倒産しそうになった」(吉田社長)経験からだ。当時産地任せだったカキの管理を見直し、自社で安全管理の仕組みを構築。07年、広島県呉市にカキの浄化施設「日本かきセンター」を設立した。
カキは1時間に20リットルもの海水を吸い込んではき出す。海水中の藻やプランクトンなどから栄養をとるが、陸上で繁殖した細菌などが河川に流入するとカキの体内に取り込まれてしまう。安全への取り組みはこの「カキの特性を逆に利用する」ことから始めた。