日本の繊維産業の製品出荷額は1991年のピーク時と比べ、現在は3分の1以下に落ち込んでいる。事業所数も激減し、縫製職人の平均年収は200万円と厳しい状態に置かれている。ユーザーと縫製職人を直接つなぐことで、職人の仕事と収入を確保するクラウドソーシングサービス「nutte(ヌッテ)」を展開するのが、ステイト・オブ・マインド。事業立ち上げ時からシステム開発責任者として関わる取締役の坂本愛子さんは「元祖在宅ワークともいえる縫製業をもり立てて、他業界へも影響を与えたい」と話している。
◆1点から発注可能
ユーザーは依頼したい仕事内容と金額、納期などの条件を登録する。受注したい職人が応募して、お互いに合意すれば契約が成立する。職人は制作して期限内に納品すると支払いを受け、料金の20%を手数料としてヌッテに納める。1点から発注できるため、ネットショップで縫製品を販売している小規模事業者の依頼を多く受けている。
坂本さんは大学卒業後、IT企業でエンジニアとしてアプリケーション開発などに携わってきた。31歳のとき、女性エンジニア支援の新規事業立ち上げに加わるが、産休を経て職場復帰すると管理部門に配属された。「子育てに対する会社側の配慮なのだろうが、エンジニアとして働きたかった」ため退社しフリーとなった。
その後、周囲に同じようにフリーの女性エンジニアがいることがわかり、子育てをしながら在宅デジタルワークで働く女性のための就業支援プランを立案し、2014年に東京都が開いたビジネスプランコンテストに応募した。このとき参加者同士の交流会でヌッテのビジネスモデルを発案した伊藤悠平さんと出会い意気投合する。
坂本さんは2次審査で落選するが、ヌッテのアイデアはファイナル(最終選考)に残る。自信を深めた伊藤さんから、「一緒に事業化しないか」と誘われ事業立ち上げに加わった。