タカタの経営がますます窮地に追い込まれている。リコール対象の拡大で全体の費用負担は1兆円を超すと試算され、財務基盤のさらなる悪化が避けられないからだ。タカタは9月までの資本増強を目指して出資に応じる企業探しに着手しており、自動車メーカーに対しても支援を打診している。ただ、今回の問題が再建に向けた協議に影響するのは必至。今後、当事者間の話し合いで借金返済を免除・猶予して再建を目指す「私的整理」が選択肢となる可能性もある。
「リコールを完了させるため、努力を続ける」
タカタの高田重久会長兼社長は、5日までに、米道路交通安全局(NHTSA)が同社製のエアバッグのリコール対象を拡大したことに対するコメントでこう述べた。
タカタは、拡大対象のエアバッグについて、公道や試験で異常破裂は確認しておらず、重大な危険性があるとの科学的な指摘も受けていないと説明。高田会長兼社長は、そのうえで「問題の解決と、消費者の信頼回復を得るとの約束を行動で示したい」と強調した。