昭和電工は20日、ドイツのSGLカーボンから、黒鉛電極事業を買収する、と発表した。買収額は約156億円。黒鉛電極は、鉄スクラップを溶かして鉄を作る、電炉と呼ぶ生産設備に使われる。中国の鉄鋼メーカーの過剰生産に押されて、電炉を使った鉄の生産が落ち込む中、各社とも需要低迷に苦しんでいるが、逆に事業拡大の好機と判断した。昭和電工は、2017年半ばにSGLから同事業を手がける子会社の全株式を取得し、完全子会社化する計画。費用は手元資金と借り入れでまかなう。
SGLは、生産能力ベースで世界2位の黒鉛電極メーカー。直近の事業売上高は約403億円で、従業員数は約900人。一方、昭和電工は3位で、買収すれば米グラフテックを抜いて1位に浮上する見通し。同社では今後、機能統合などに取り組み、年間60億円のコスト削減効果を引き出したい考え。昭和電工の市川秀夫社長は同日の記者会見で、「黒鉛電極は電炉に不可欠な存在。中期的には(需要は)回復していく」と語った。