日立製作所が売却を検討する電動工具子会社の日立工機について、売却先を米投資ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)とする方向で最終調整していることが28日、分かった。売却額は1500億円を超えるとみられる。電力や鉄道をはじめとする社会インフラやITなどの中核事業に経営資源を集中する一方、非中核事業の整理を進め、収益力を引き上げる。
日立製作所は日立工機株売却の入札を行い、KKRに優先交渉権を与える方向で調整しているもよう。来月にも正式合意する。
KKRは株式公開買い付け(TOB)を実施し、全株取得を目指すとみられる。
日立工機は東証1部上場で、2016年3月期の売上高は1415億円、最終利益10億円。日立製作所がグループで5割以上の株式を保有する。
日立製作所は、高収益の事業基盤確立に向けて高速鉄道などのインフラやIT事業へのシフトを進める中で、工具は相乗効果が薄いと判断した。ほかにも、子会社の日立国際電気の半導体製造装置事業の売却も検討するなど、非中核事業の整理を加速する方針だ。
一方、KKRは11月に日産自動車傘下の自動車部品大手カルソニックカンセイを約5000億円で買収することを決めるなど、日本で大型案件への投資を相次いでいる。