
電通本社ビルの外観=東京都港区(伴龍二撮影)【拡大】
新入社員の過労自殺が社会問題化した電通(東京都港区)でも入社式が行われた。式を前に取材に応じた20代の新入社員は「仕事のきつさや上下関係の厳しさは分かっている。早く一人前になりたい」とさばさばした表情で話した。過労死問題のイメージがついた企業で働くことに、周囲の人たちが心配していることも明かした。
「大イベントに関わりたい」との希望を胸に、広告業界を志したという男性。学生時代のOB訪問を通じ、先輩社員から過酷な業務の実態についても聞かされてきた。
昨年秋、過労自殺の問題が報道され、親や友人から「大丈夫か」と心配されたが、「厳しい指導は伝統的なもの。ある程度は覚悟している」と気にするそぶりはない。
電通は働き方改革に取り組んでおり「さすがにあまりにもむちゃな要求はされないと思う」と予想する一方、不安よりも「仕事を覚えて一人前になりたいという気持ちの方が強い」と真剣な表情で言い切った。