【激震 モノづくり】(上)日産・スバルの無資格検査、販売店にも余波 問われる「現場の強さ」 (3/4ページ)

東京モーターショーに出展した日産自動車とスバルのブース。無資格検査問題は大規模リコールや出荷停止など、多方面に大きな影響を与えた=10月27日、東京都江東区
東京モーターショーに出展した日産自動車とスバルのブース。無資格検査問題は大規模リコールや出荷停止など、多方面に大きな影響を与えた=10月27日、東京都江東区【拡大】

 日産は現時点では、問題の原因が現場にあるとみている。販売拡大を進める中、現場が生産性を上げようとした結果、資格者だけが担当すべき新車製造の最終工程「完成検査」に無資格の検査員が携わることになった可能性が高いとの分析だ。

 ある日産幹部は「現場は速く、効率よく、安く、というモノづくりをしていた。でもルールを守れていなかった」と肩を落とす。

 日本の製造業を代表する自動車産業の原動力は「現場の強さ」だった。徹底して無駄を省き、緻密な部品管理を行うトヨタ自動車の「トヨタ生産方式」や、創業者の本田宗一郎氏が現場・現物・現実を重視したことに由来するホンダの「三現主義」などが好例だ。

 しかしそれはトップダウンではなく、ある程度、現場に裁量を与えることを意味する。製造ラインに携わる担当者の判断で創意工夫を進めたことが無資格検査につながったとすれば、“現場力”があだになったといえるのかもしれない。

 日産の次に無資格検査が発覚したのは「スバリスト」と言われる熱烈なファンを抱えるSUBARU(スバル)だ。同社では無資格者が検査に携わることを促すような内容の社内規定があった。

スバルは日産と異なり、原因は社内制度にあった