高い自然放射線 受けても健康リスクの上昇は見られず
東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所の事故から3年が経過したが、放射線による人体への影響や健康被害について、不安に感じている人も多い。そこで、今回、インド・ケララ州で行われた疫学調査から、放射線と健康への影響を考える。
日中印の研究チームが検証
放射線が人の健康にどのように影響するのかを考えるうえで、一つの興味深いデータが存在する。日本・中国・インドの国際共同研究チームが取り組んでいる高自然放射線地域住民を対象にした疫学調査から得られた低線量放射線被ばくによる健康影響の知見だ。どんなに少量であっても放射線はがんを発生させる-。こんな見方を覆す、研究チームの長年にわたる詳細かつ大規模な追跡調査の結果が注目されているのだ。
地球上にはもともと、宇宙や大地、大気、食物などから出る自然放射線が存在している。世界には、大地からの自然放射線量が世界平均年間0.48ミリシーベルトより数倍高い地域(高自然放射線地域)があり、その代表的な地域としてインドのケララ州、中国・広東省の陽江地区、イランのラムサールなどがこれに該当する。