
工事現場に掲げられたゼネコン各社のロゴと、リニア車両と、検察庁の庁舎のコラージュ(共同)【拡大】
日本の建設業界を牽引してきたスーパーゼネコン4社が刑事責任を追及される事態に発展した今回の談合事件。東京地検特捜部は談合を認め捜査に協力した2社の元幹部を不起訴とする一方、否認する2社の幹部を起訴した。「アメとムチ」が明確で、6月から導入される司法取引を先取りしたかのような対応だった。加えて本来は公正取引委員会の調査が先行する談合事件で、特捜部が終始捜査を主導。異例ずくめの捜査に疑問の声も上がった。
公取委“置き去り”
「うちがまだ事情聴取していないのに、まさか先に逮捕するとは」。独禁法を運用する公取委の幹部は、特捜部の捜査手法に戸惑いを隠せない。
特捜部は昨年12月8、9日、リニアの非常口新設工事の入札で不正があったとして偽計業務妨害容疑で大林組を家宅捜索。同18、19日には独禁法違反容疑で公取委とともに4社を捜索したが、別の公取委幹部は「事件のスタートからして異例だった」と振り返る。
談合事件は、公取委が数カ月かけて調査を進めた上で特捜部が本格捜査に乗り出すのが一般的だが、今回は当初から特捜部が主導し、家宅捜索からわずか2カ月余りで大成と鹿島の幹部を逮捕。起訴に至るまで3カ月という“スピード捜査”だった。「市場の番人」といわれる公取委がゼネコン側の聴取にもあまり携わっておらず、最後まで“置き去り”にされた。