「還暦を過ぎたら地球一人旅に出掛けよう! 地球一人旅なんか怖くない!」
旅は脳の活性化につながるし、旅に出掛けると、よく歩くから足腰が強くなる。公共交通に乗って、1泊5千円程度の宿に泊まり、土地の人と同じものを食べれば、費用もさほどかからない。その土地で生き生きと暮らす人と話し、行きたい、見たい、食べたい、眠りたいの感性を道連れに旅ができたら、どんなに楽しいだろうか。
私の初めての地球一人旅は21歳の夏。リュックを担ぎ、アルバイトでためた資金を元手に、「結婚費用などいらないから私に投資して」と母から援助を受け、あこがれのパリへ1カ月間、一人旅。といっても、百パーセント一人旅の自信はなかったので、某ファッションツアーの現地行程を除いた往復の航空券(24万4千円)を手に入れて機上の人になりました。
当時はパックツアー全盛。ディスカウントの往復航空券を探すのは、とてもむずかしかったけれど、今は家にいながらにして格安航空券も見つかる。
この旅で私が一番心細かったのは、パリの空港着のとき。パックツアーの人々は空港に出迎えのガイドがやってきて添乗員と談笑し、これから始まるパリ・ファッション探訪へ期待に胸躍らせていました。私はといえば、華やかな群れに背を向け、宿舎先のパリ南端の大学都市までエアポートバスに乗り込み、1人進んでいきました。