冬はフグがおいしい季節。最高級とされるトラフグも、養殖技術の向上で手ごろな値段で食べられるようになってきた。最近は温泉水を使ったトラフグ養殖が普及しつつあり、温泉とトラフグの両方を楽しめる観光地が増えている。(平沢裕子)
温泉地で養殖
温泉水を利用して養殖する「温泉トラフグ」は6年前、「海なし県」である栃木県那珂川(なかがわ)町で町おこし事業として始まった。
同町の水質・土壌調査会社、環境生物化学研究所の野口勝明社長が地元の温泉水を調べたところ、塩分濃度が海水の3分の1の1・2%で生理食塩水(0・9%)に近いことが判明したことがきっかけだ。
野口社長は「温泉水で海産魚類の養殖ができるのではないか」と考え、市場価値の高いトラフグにターゲットを絞り、飼育試験を開始。東大の水族生理学研究室の教授らの協力を得て販売にこぎつけた。