
厚生労働省の調査では、成人男性・女性の朝食における野菜の摂取量は昼食、夕食に比べて少ない【拡大】
≪朝食習慣≫
師走も目前となり、忘年会シーズンもいよいよ本格化する季節となる12月。不規則な食生活が続く季節だからこそ、注目したいのが朝食だ。
毎日の食事の中でも、特に朝食を食べることが軽視される傾向にあることが、厚生労働省から発表された2013年「国民健康・栄養調査」で明らかになっている。
同調査によると、成人男性・女性の朝食での平均野菜摂取量が52.9グラムに対し、昼食では70.0グラム、夕食には157.2グラムという結果が出ている。摂取量に偏りがあり、朝食の摂取量が最も少ないということが分かる。
◆摂取量は目標値以下
また同調査の15年度版によると、朝食の欠食率は男性で14.3%、女性で10.1%であった。特に20代女性の13.5%、30代女性では6.1%が、朝食をまったく食べていないことがわかった。朝食欠食率は男性では30代、女性は20代をピークとし、それ以降は年を経るにつれて減る傾向がある。朝の出勤時における忙しさというのはあるだろうが、流行の健康法やダイエット、睡眠や体調不良などが朝食欠食の状況を生み出す要因とも考えられる。そして野菜摂取量の平均値は293.6グラム。男女別にみると男性299.4グラム、女性288.7グラムだった。これは「健康日本21(第2次)」の目標値である野菜摂取量の平均値350グラムを、大幅に下回っている。特に男女とも20代が最も野菜の摂取量が少ない傾向にあることも明らかになった。
こうした結果を受けて、忙しい朝でも朝食をしっかり食べること。特に朝食で野菜を摂取することの必要性を話すのは、管理栄養士の麻生れいみ氏だ。
「忙しいからといって朝食を食べないと、私たちの体は低血糖の状態が長時間続くことになります。こうした空腹の状態が長く続いてしまうと、昼食を一気に食べ過ぎてしまうため、食べた後は血糖値が急激に上昇します。このような血糖値の急変は、糖尿病や心筋疾患を引き起こす原因にもつながります」と懸念する。
だからこそ、朝食をしっかり食べること。特に朝食で野菜を摂取する「朝ベジ」を習慣にすることで、「野菜に含まれている食物繊維を朝からしっかり摂取することで、昼食の食べ過ぎを抑えることができ、昼食を食べたときの血糖値を下げる効果も期待できます」という。
具体的な朝食メニューとして、忙しい朝でも野菜を摂取することができるスープや汁物、また野菜の入っているジュースのような飲み物を推奨する。
「野菜がたっぷり入っているスープや具だくさんの汁物は、前日の夜に作り置きすることができるおかずです。忙しい朝でも、電子レンジですぐに温め直すことができます。また最近ではスーパーやコンビニエンスストアで、野菜が入っているジュースやスムージーなども、販売されています。スープや汁物にもこうした野菜ジュースを使えば、野菜の摂取量も増やすことができます。こうした飲み物も上手に活用することで、朝から野菜を摂取することができます」と話す。
◆NYでも注目
さまざまな野菜を朝から摂取することで健康的な体づくりを目指す傾向は、食のトレンドを発信するニューヨークをはじめとした海外でも注目されている。野菜をメインにしたヘルシーな朝食メニューは、多数のSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)に投稿される傾向があるという。
不規則な食生活が続くこれからの時期は、朝食を食べない人がさらに増える可能性がある。忙しい時期だからこそ、まずは朝食の取り方を変えてみることも、この時期は必要かもしれない。