祭りを通じ、地域は結束する。山鉾を組み立てる作業には、町内外から男たちが集まる。
「作業には町外の若い人も手伝いに来てくれている。山でつながっているから、被害が起きても助け合うことができた」。店や自宅が被害を受けた豆田町の自営業、渡辺勝雄さん(72)は、こう語った。
豆田下町地区の巡行には、同市小野地区で亡くなった消防団員、山本岳人さん(43)も携わっていた。
山鉾に乗せる人形を手掛ける日田唯一の人形師、長嶋静雄さん(61)は「山本さんのことが、頭から離れない」と、その死を悼む。それでも「願いは災害からの復興。祭りに向けて懸命に取り組んでいる人をみると、元気が出てくる様子が分かる。無病息災の思いを込めて、一致団結したい」と強調した。
江戸時代、日田に赴任してきた代官の助言で現在の形に
日田は、福岡・熊本両県に接し、北部九州のほぼ中央に位置する。古来、交通の要衝であり、江戸時代は幕府の直轄地「天領」として、政治、経済の中心地となった。