□北海道大学大学院工学研究院教授 奈良林直氏
■「第2のウクライナ」大きな懸念
アベノミクスで経済は上向きになっていますが、毎年数兆円もの日本の富が海外に流出し続けることは、実体経済としてアベノミクスの足を引っ張ることになります。アメリカのオバマ大統領が軍事費も含めて節約して、やっと10兆円を生み出しました。日本は原発を急に停止したために、毎年数兆円というお金を石油や天然ガスを買うためだけに支払い、これを10年続けたら数十兆円になります。このままいったら経済破綻します。
このお金は、全て国民にツケが回り、電気代で国民が払わなくてはなりません。電力会社は高い燃料代のため、電気料金を値上げせざるを得ません。シェールガスがあると言っても、アメリカに液化天然ガス(LNG)をつくる工場、LNGタンカー、日本での受け入れ基地も造らなければなりません。それをやったとしても海外にお金を払うことに変わりはないのです。
いま世界人口は約70億人ですが、2050年には約100億人になるといわれています。世界中で繰り広げられているエネルギーの争奪戦に日本は勝ち残れるのか。原子力を簡単に手放してしまえば、国家の危機が生まれるのです。
チェルノブイリの事故後、ウクライナは「脱原発」にかじを切りましたが、停電が日常茶飯事、約3年間で国内経済はガタガタになり、失業者が増加、病死や自殺で命を失う人も大勢出ました。ロシアへの天然ガスの代金すらも支払えなくなりました。そのため、安全性を高めた原発の活用に政策の方針転換を図ったのです。
いま、日本が「第2のウクライナ」になりかねないと、大変な危惧の念を抱いています。安全性を高めた原発は厳格な審査の上、再稼働すべきです。
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