人間の理性は原子核を操作し、エネルギーを取り出しました。私は人間の理性と科学が原子力を人間のコントロールの下におき、平和利用を通じて未来の人類の繁栄に役立てていくと信じています。理性と科学を高めることこそ将来への最大の責任です。日本人はその責任から逃げてはいけないと思います。
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□NPO法人ハッピーロードネット理事長 西本由美子氏
■原発問題を深刻化しすぎる悲劇
東日本大震災から2年11カ月の歳月が流れようとしています。福島県浜通りの原発周辺地域の住民は、いまなお避難生活を余儀なくされ、故郷への帰還は時間の経過とともに厳しさを増すばかりです。全国各地にバラバラとなった避難者にとって、状況はさまざまですが、この浜通りがいつまでも故郷であることは変わりません。
そうした中で、さまざまなご縁からチェルノブイリ原発事故後のウクライナを訪れる機会を得ました。チェルノブイリ事故の影響を研究しているセルゲイ・ミールヌイ氏の講話では、福島原発事故の規模はチェルノブイリの数千分の1で被害はローカルな影響だが、放射能の知識が乏しいために過剰な反応を呼び、精神的な被害という健康被害を生んでいるとお聞きしました。
ウクライナを訪れて理解できたことが3つあります。
まずチェルノブイリ事故と福島の原発事故を比較すると、福島の事故の影響は極めて小さいということ。福島原発事故では、メディアを含め個人に至るまで、より専門的な知見からの正確な情報が広がる前に誤った知識が広まってしまったこと。そして問題をより深刻に捉え、精神的に追い詰めていることが一番の悲劇だということです。そして私たちは、放射線に対する正しい知識を持たなければならないということ、正しい知識を持っていれば私たちの故郷はいずれ安心して住めるようになるということを学びました。