【日曜経済講座】上海支局長・河崎真澄
■統計への疑念と成長鈍化
中国にも年末恒例の「流行語大賞」があれば、2014年は「新常態(ニューノーマル)」が大賞候補だろう。
中国共産党機関紙、人民日報が8月上旬、「中国経済新常態」と題した特集を4日連続で1面に掲載。高度成長から中高速成長へカジを切る習近平指導部の狙いが、金融リスクの回避や製造業の供給過剰問題への対処など、経済構造の改革にあると訴えた。
その後、連日のように「反腐敗」や「独禁法」など習指導部の政策をことごとく「新常態」を切り口に説いた記事が、経済紙や地方紙などの紙面を飾っている。記事からは、習指導部が国内総生産(GDP)成長をゆるやかに減速させながら、中国を「新常態」に移行すると内外に宣言したと読める。成長鈍化の痛みを伴ってでも、構造改革を断行したい習指導部の思惑がありそうだ。