【日曜講座 少子高齢時代】論説委員・河合雅司
50代といえば、サラリーマンなら出世レースの先が見え、定年退職を意識し始める頃だろう。再雇用でそのまま会社に残るのも選択肢だが、「何かやり残したことがある」と考える人にとっては年齢的にみてラストチャンスともいえる。
とはいえ、中高年の再就職や起業は簡単ではなく、踏み出せないでいる人も多いだろう。こうした人たちの背中を押しそうなのが、中高年の地方移住の受け皿である「日本版CCRC(生涯活躍のまち)」だ。
CCRCといわれてピンと来る人は多くはないだろう。従来の高齢者向け施設とは異なり、健康時に移り住み、要介護状態となった場合には継続的なケアを受けられるコミュニティーのことである。
当初、政府は高齢者移住の具体策として考えていた。だが、筆者が委員を務めた内閣官房の「日本版CCRC構想有識者会議」が昨年12月にまとめた最終報告書では、対象年齢が50代に拡大された。本当に高齢になってから移り住んだのでは、アクティブな人生を満喫できる時間が限られるとの判断による変更だ。