【社説で経済を読む】「通貨協定」再開が教える韓国の国柄 日韓メディアで異なる認識 (3/4ページ)

 協定が日本の円高阻止にどの程度役立つかはさておき、少なくとも韓国側には、2つの点で協定の再開は重要で大きな意味を持つ。

 1つは、英国の欧州連合(EU)離脱決定や米国の利上げなど、世界経済の先行き不安が増す中で、為替相場が今後とも急激に変動する可能性があることだ。外需依存度が極めて高い韓国経済にとって、通貨スワップ協定の存在は、いざというときの心強い安全装置といえる。

 ちらつく中国の影

 2つ目は、中韓関係の冷却化だ。北朝鮮の相次ぐミサイル発射を契機に、韓国は最終的に米軍の最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の配備受け入れを決定した。これに中国が強く反発している。

 韓国メディアは、現在の外貨準備について、歴史的にも最高レベルまで積み上がっていると指摘。「日本との通貨スワップは備えあれば憂いなしとみるべきだ」(韓国経済新聞)と強気の姿勢が目につく。だが、その背後にちらつくのは、やはり中国の影だ。

過剰な中国依存を一刻も早く脱却したいという韓国側の焦り