このホイップクリームが、その後のアワリッチ開発でも大きな貢献を果たした。当時、マーケティング部では、スーパー、コンビニエンスストアのチルドカップコーナーに新しい価値のある商品を提案したいと考えていた。苦悩する日々が続くなか、同研究所から「ドロリッチのようにホイップクリームを使い、容器を振ることで『泡』の食感を作ることができる」という新しい提案があり、それをきっかけにアワリッチの開発が進んだ。
マーケティング本部洋生菓子マーケティンググループの難波真一郎さん(40)は「ドロリッチを飲んだお客さまから、『ゼリー状の飲料も良いが、ゼリーでなく飲みやすい食感を楽しめるものがあれば』という声があった」と、開発の動機を語る。
また、昨年6月に社内の営業担当者を集めた説明会を開き、透明カップの中で、2層に分かれたホイップクリームとコーヒーゼリーが、強く振ることで泡状に変化した様子を見せた。同本部マーケティング企画室コミュニケーショングループの石田潤さん(36)は「会場内に衝撃が走った気がした」と、記憶に鮮明に残ったという。
混ぜると泡状になる技術は特許出願中で企業秘密だが、凝固素材の配合にポイントがあるという。コーヒーの試作では、振ったときにできるだけ液体に近づくよう、ゲル化剤や寒天、果実に含まれるペクチンなどの凝固素材の配合を100回以上繰り返した。「コンマゼロ何パーセントの調整」(川口さん)で誕生した食感なのだ。難波さんは「コーヒーと抹茶は、それぞれ泡との親和性が抜群。振って泡になった食感はどのメーカーにもまねできない」(難波さん)と自信を見せる。