≪FROM WRITER≫
開発物語の取材で難しいのは、研究員の方が開発に至る苦労を聞き出すことだ。グリコ乳業の商品開発研究所でも、成分の計量や配合、試作という作業が繰り返されている。取材する側は、開発のポイントとなった研究員のやりとりや特筆すべき技術的な点などを聞き出したいのだが、肝心な部分は「お話しできません」となってしまう。
アワリッチの場合、開発の重要なポイントは、自社開発のホイップクリームだった。川口亜紀子さんは「アワリッチを飲んだときの泡の食感というのは、グリコにしかできないホイップとゼリーを混ぜることで初めてその食感になる」と話した。だが、どうやってホイップクリームが完成したのかについては、残念ながら聞き出すことができなかった。
ただ、川口さんら研究員が「飲料」ではなく、「洋生菓子」の専門知識があったことと、「既存の概念にとらわれない発想」が、アワリッチを誕生させたことだけは確かだろう。地道な研究開発の舞台裏をきっちりと取材することで、研究員の秘めた思いを読者に届けたいと考えている。(鈴木正行)
≪KEY WORD≫
■「AWARICH(アワリッチ)」
ホイップクリームとゼリーの2層構造で、飲む前に7~8回強く振ると、両者が混ざり合ってふんわり滑らかな泡の食感が楽しめる飲料に変わる。4月7日から発売。コーヒー(180グラム入り)と抹茶(170グラム入り)の2種類がある。希望小売価格は175円(税別)。