これはつまり、悪意をもった誰かが、公海上で船を10日も止めてしまえば、日本のエネルギーは途絶し、社会が立ち行かなくなる恐れがあるということ。経済のみならず、国家安全保障上、極めて大きな問題です。
井伊 日本が火力発電に過度に依存することによるリスクを考えると、原子力を維持することが国家安全保障上も重要だということですね。
市川 おっしゃるとおりです。そのように考えると、エネルギー調達先の多様化も必要です。オバマ大統領が4月に来日した際にも首脳会談ではシェールガスの輸入が議題になりましたし、秋にプーチン大統領が来日すれば、サハリンからの天然ガスの輸入拡大が固まってくる可能性がある。これは輸入ルートを多様化するという面に加え、外国とのエネルギー価格交渉を有利に進められるという点でも極めて重要です。
何らかの理由でLNG船が日本に来られない状況になったとしても、日本が自力で何とかやっていけるということが抑止力になり得ます。それができていたからこそ、震災後もなんとかなっているのですですから、日本が原子力で3割程度の発電ができる状態を保たないといけないのです。