国交相の諮問機関、交通政策審議会は5月、首都圏の中期的な鉄道網整備について議論を開始。羽田への鉄道アクセスについては小委員会を設置して自治体や鉄道事業者からの聞き取りをしており、14年度中にも中間報告をまとめるとみられる。
国の玄関口である国際空港と都心との所要時間を短縮することは、日本の国際競争力の強化につながってくる。羽田は都心からの距離が20キロ弱と比較的近いが、現在の京急や東京モノレールでは東京駅などの主要駅から乗り換えが必要なこともあって、移動に時間がかかり、地の利を生かし切れていない。これに対し、香港やソウル、ロンドン、パリといった海外の主要都市の場合、乗り換えなしで行き来できる。アジアで都市間競争が激しさを増している中、空港アクセス改善は喫緊の課題だ。
新線構想はいずれも、東京五輪の開催決定を受けて整備の機運が高まっている。ただ、都心と羽田との鉄道アクセス改善は「五輪だけでなく、その後に東京が国際的な都市として発展していく上でとても重要な課題」(JR東の冨田社長)といえるだけに、五輪後も見据えた整備のあり方が鍵となりそうだ。(森田晶宏)