
2016年9月のパリ・モーターショーで世界初公開したGLMの次世代車「G4」。19年の量産開始を目指す(同社提供)【拡大】
“共感”が支えに
創業のきっかけは10年に、京大の松重和美副学長(当時)らが進めていた京都の“幻のスポーツカー”「トミーカイラ」をEVで復活させるプロジェクトを事業化したことだ。メンバーの一人だった小間社長は「京都の産官学連携の仕組みを使えば事業としてうまくいくのでは」と考えたのだ。
ただ現実は厳しかった。「業界、なめてるんじゃないの?」「ナンバー、取れるの?」。周囲の声は冷たかった。ある大手部品メーカーは「ベンチャーの車で不具合が出ると、部品を供給した当社の責任になる」と断られた。
そんな逆風が一変したのは、トヨタ自動車出身のエンジニアらがGLMの車作りの理念に共感し、転職してきてからだ。理系の知識がない小間社長は「私だけの説得ではうまくいかなかった。才能ある人たちがGLMに集まってくれたことで、事業が前に進んだ」と振り返る。
同社初の市販車、トミーカイラZZの開発には、地元・京都の電子部品メーカー各社から協力が得られた。電源として欠かせないジーエス・ユアサコーポレーションのリチウムイオン電池をはじめ、オムロンやニチコンの電子部品。車の量産は京都府北部の舞鶴市にある小阪金属工業が担当するなど、府内に同社のEV生産への協力体制が構築されていった。