映画「セーラー服と機関銃」や「事件」、テレビドラマ「十津川警部」シリーズなどで活躍した俳優の渡瀬恒彦(わたせ・つねひこ)さんが14日、多臓器不全のため死去した。72歳。葬儀・告別式は親族で営む。喪主は妻、い保(いほ)さん。
兵庫県出身。早稲田大学で学んだ後、広告代理店勤務を経て昭和45年、映画「殺し屋人別帳」で主役デビュー。その後、48年には「仁義なき戦い」などの任侠映画で活躍した。クーデターを計画する元自衛官を狂気をにじませて演じた「皇帝のいない八月」(53年)や、主人公の薬師丸ひろ子さんを支えるストイックなやくざを演じた「セーラー服と機関銃」(56年)、「南極物語」(58年)などの作品で、強い印象を残した。
53年には、映画「事件」で物語の鍵となるチンピラ役を好演し、日本アカデミー賞やブルーリボン賞で助演男優賞。ほかにも、「戦国自衛隊」「復活の日」「震える舌」「天城越え」「時代屋の女房」など数多くの話題作に相次いで出演し、日本を代表する俳優の一人となった。
テレビドラマでも活躍。60年にNHK時代劇「真田太平記」に真田信之役で出演した。「十津川警部」「タクシードライバーの推理日誌」といった2時間ドラマや、連続ドラマ「おみやさん」など人気シリーズで主演を務めた。4月からは、テレビ朝日系のドラマ「警視庁捜査一課9係」に主演する予定だった。
平成27年から胆のうがんで闘病中だった。所属事務所によると、2月に左肺に気胸を発症し、入院治療を続けていた。
俳優の渡哲也さん(75)は実兄。女優の大原麗子さん(21年に死去)と昭和48年に結婚し、その後、離婚した。