ではアメリカの思想はどうか。僕は当時の(零戦のライバル機を製造した)グラマン社の設計者にも話を聞いたわけですが、大事なのはまず馬力、そして数。馬力が大きければいろんなものをカバーできる。力ずくで、そして数で相手を圧倒する。
日本はある優れた性能のものを作ると、全体的な技術レベルが伴っていなくても世界制覇したように思い上がってしまう。これは明治以来の「追いつき追い越せ」で形成された民族性が、国民性といっていいほどに染みこんでしまった結果だと。こういう目で見ないと、あれほど素晴らしい零戦がなぜボロボロになってしまったのか、説明がつかないと思います。
今の車でもそうですが、いい製品を作っても他社が追いついてくる、だから2~3年後には新製品を作って勝負せねばならなかったんです。
〈『零式戦闘機』に続き、『零戦燃ゆ』(3部作)を発表。長期にわたり零戦の栄光と凋落(ちょうらく)を技術面から冷静に書き続けた。昨年、堀越二郎らをモデルにした『風立ちぬ』、百田尚樹氏原作の『永遠の0』が相次いで公開され、再び注目されているが、このブームには苦言を呈する〉