■『ノモンハン1939 第二次世界大戦の知られざる始点』スチュアート・D・ゴールドマン著、山岡由美訳
思い上がってはいけない
20世紀前期に日本の置かれた世界的地位を冷静に考察した内容が読書欲を高める。歴史に「もしも」はありえないまでも、あのとき日本人が視野を広くもって行動したならば世界史がまったく違った進み方をしていただろうと説いている。
当時の日本の海外派遣軍であった関東軍が画策しソ連軍と戦い大敗を喫したノモンハン戦役の真実を、その萌芽(ほうが)から説き起こし独ソ戦から真珠湾攻撃への伏線までを、きわめて高い視点から詳細に調べ上げているのだ。
日本国民にはまったく知らされていなかった大敗の事実と、その衝撃から帝国陸軍の参謀たちがソ連を避けて南進しアメリカと干戈(かんか)を交えるに至った過程が語られる。
かくてソ連はモスクワを死守しドイツ軍を撃退して勝利し、やがて東西の冷戦に突入し英国首相チャーチルいうところの「鉄のカーテン」が降ろされるに至るのだ。