第二次大戦における日本の敗戦は歴史の必然として避けられなかったのではないかと考えさせる。それは嘉永6(1853)年のアメリカ艦隊によるペリー来航から始まっている。極東の島国である日本の宿命が、世界の大勢から取り残され軍人の独裁支配に組み敷かれる道を歩まざるを得なかったのではないのだろうか。
日本が輸出した強靱(きょうじん)なピアノ鋼線がソ連軍によってノモンハンの原野に敷かれ、日本軍の戦車に絡まりつくのだ。ここに現在の日本の国際社会における教訓が隠されていないだろうか。
いま勤勉と英知で国を建てている私たちは、決して思い上がってはいけないのだということを、ノモンハン戦役を検証することによって知らなければいけない。世界の中の日本ということを認識する大切さを著者は自身の研究から教え、翻訳者の正確な文体がそれを支えている。(みすず書房・本体3800円+税)
【プロフィル】中島誠之助
なかじま・せいのすけ 昭和13年生まれ。東京・青山の骨董通りの名付け親。著書に『句集 古希千句』ほか。