【書評】『その1秒をけずりだせ 駅伝・東洋大スピリッツ』酒井俊幸著 (2/2ページ)

2015.2.14 12:00

「その1秒をけずりだせ」

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 酒井監督は個々の選手の個性に応じてコミュニケーション方法を変え、本番での起用には、昔とは比較にならないほど細心の注意を払い、思い切った戦略を立てて選手を入れ替える。モチベーションの低下した選手には、監督の妻が選手の郷土料理を作ってサポートしたりもするという。

 しかし、変わらない面もある。学業の重視だ。当時の早稲田では、秋以降のポイント(重点)練習以外は、講義に出席するために、個人で練習することが認められていた。

 現在の東洋大学では、1時限目に間に合うよう、朝練習は他の大学より1時間早い午前5時に開始しているという。朝練習の後、出勤するサラリーマンたちに混じって1時間半ほど電車に揺られ、埼玉県川越市から東京都文京区白山のキャンパスに登校することは、忍耐力を養い、社会人になってからも役に立つと著者は明言する。

 学生スポーツがプロ化する風潮の中で原点を大切にしていることが、案外と同校の強さの秘密なのかもしれない。(ベースボール・マガジン社・1400円+税)

 評・黒木亮(作家)

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