織田作之助も愛した看板メニュー「名物カレー」 大阪・ミナミの「自由軒」 (2/3ページ)

2016.7.16 17:10

若女将の吉田純子さん。店内には名言とともに織田作之助の写真が飾られている
若女将の吉田純子さん。店内には名言とともに織田作之助の写真が飾られている【拡大】

  • 織田作之助をはじめ、大阪ゆかりの作家や歌舞伎俳優、芸人に愛された「名物カレー」(手前)

 昭和15年に発表した「夫婦善哉」には、遊蕩(ゆうとう)を繰り返す柳吉と夫婦げんかをした蝶子が、一人で自由軒に行く場面がある。

 《楽天地横の自由軒で玉子入りのライスカレーを食べた。「自由軒(ここ)のラ、ラ、ライスカレーはご飯にあんじょうま、ま、ま、まむしてあるよって、うまい」とかつて柳吉が言った言葉を想い出しながら、…》

 苦労をさせられても、ほれた柳吉から離れられない蝶子の心情がじわりとにじむエピソードである。織田は自由軒で名物カレーを食べながら、このくだりを考えたのだろうか。

 名物カレーは、ご飯とカレーが混ざった状態で提供される。このスタイルは創業当時、ご飯を保温する設備がない中で熱いカレーライスを食べてもらおうと考案された。上に載せられた卵は当時、貴重品だったが「高価な食材を比較的安く提供して喜ばれました」と吉田さんは言う。

独自の配合でブレンドされたカレー粉の辛み、そして牛肉などのうまみが広がる

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