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日本の家の「いさぎよさ」が息づいている 幸田文が今日の女たちに伝えたかった秘密 松岡正剛 (3/4ページ)

2014.2.12 20:25

【BOOKWARE】編集工学研究所所長、イシス編集学校校長の松岡正剛さん=9月14日、東京都千代田区の「丸善丸の内店内の松丸本舗」(大山実撮影)

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 【KEY BOOK】「月の塵」(幸田文著/講談社文庫、620円)

 文さんの随筆に入るのはこの本からがいい。露伴の体の具合が悪くなってきたとき、自分は父のことを書くのだと決めた当初の気合というか、気っ風というか、そういう生々とした覚悟のようなものが、まことに微細な文章となって伝わってくる。ひとつずつの随筆は短めで、たいてい季節感が入っている。露伴の言い分と自分の間隔とのずれもしょっちゅう出てくる。でも、どんな随筆も父への敬意が香(かぐわ)しい。いつまでも読んでいたい随筆だ。

 【KEY BOOK】「季節のかたみ」(幸田文著/講談社文庫、660円)

 63歳から75歳までの随筆集。それまでの父をめぐる随筆にくらべて、さすがに文さんの年季も入ってきたので、屈託のなさ、押し通すところ、世間に対する平然とした距離感、四季折々の出会いの深みなど、いっそう滋味深い。「春の声」「くくる」「台所育ち」「なくしもの」「壁つち」など、いずれも泣かせる。この魅力、いったい何だろうとずっと思っていたのだが、そうか、これはおそらく明治生まれの日本女性の「いさぎよさ」というものだと確信した。

幸田文さん 他人にどう思われても平気な人だった

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