もう一人は「スケートに命を吹き込んでくれた」イタリア人振付師のパスカーレ・カメレンゴ氏だ。前回五輪後から振り付けやエッジワークなどの指導を依頼し、世界で評価される表現力を身につけた。円熟味あふれる演技で初優勝した昨年(2013年)12月の全日本選手権の後には、ミュージカルの作中のせりふを引用し「どこにその才能を隠していたの」と褒めてもらった。
大好きなスケートを28歳まで続け、再び五輪で思う存分舞った。「小さいころから音楽を聴いて、心から滑ってきた」という競技人生に笑顔で一区切りをつけた。
鈴木は試合後、「正直いって、ここまで続けられるとは思わなかった」と振り返った。その上で「いま駄目だから諦めるのではなく、遅咲きでも頑張れると、少しでも未来のスケーターたちや他の方にも伝わって、何歳からでもやろうと思った時にできる、という気持ちが伝わればいい」とも語った。
「先生が泣けるような演技じゃなかったけど、最後までついてくれたからここまでできた」と、長久保コーチへの感謝の言葉も忘れなかった。