【佐藤優の地球を斬る】
ウクライナ危機に対する日本外交は、バランスがとれており、ロシアと米国・EU(欧州連合)の対立を緩和する役割を果たしている。特に安倍晋三首相の指示で3月12日からモスクワを訪れている谷内正太郎(やち・しょうたろう)国家安全保障局長が重要な役割を果たしている。
北方領土は「重要」明言
谷内氏は12日、ラブロフ露外相と会談した。ラブロフ外相は、記者が取材できる会談冒頭でこう述べた。
「日本に安全保障局が設置されたことはアジア太平洋の安全保障に対し、積極的な役割を果たすことを表していると歓迎する。また、これによって日露の国際的な局面でのパートナーシップを強化するものになることを期待する。
経済、文化交流を通じて2国間関係をさらに発展させることが重要だ。昨年(2013年)4月に安倍首相がロシアを訪問し、今年2月にもソチで首脳会談があった。こうした基盤をもとにさらなる日露関係の発展を目指したい。今年も首脳会談が予定されている。予定をこなすだけでなく実りあるものにしたい。首脳会議では重要な案件が設定されているが、その交渉を妨げるような要素はないと考える。