≪長いようで短い「冬の祭り」≫
オジロワシが北半球に広く分布し北海道でも少数が繁殖するのに対し、オオワシの繁殖地はロシア極東のオホーツク海沿岸やカムチャツカ半島に限られる。その一部が北海道へ冬鳥として渡来し、春には子育てのため繁殖地へと帰ってゆく。限られた分布ゆえに、この鳥はバードウォッチャーの憧れのまとだ。
その美しい姿をひと目みたいと日本全国、いや世界中の鳥好きが知床へやってくる。あたかも氷が流れ寄るように。特にヨーロッパの人々にオオワシは人気が高い。近年は台湾、中国、韓国からの旅人も増え、羅臼のクルーズ船のデッキは世界各国の言葉が飛び交う。過半数が海外客となる便も多く、“国際船”の様相である。
羅臼港から船で沖の流氷帯に近づく。緩やかなうねりとともに氷同士のぶつかる音が聞こえる。遠目には平板に見える流氷だが、風や潮の流れで重なれば、背丈以上に高さのある複雑な氷塊となる。まるで“氷の根”みたいに水面下に1メートル以上も伸びている大物も。船がぶつかればギューィときしむ激しい音。衝撃で倒れそうになり、氷の重みを改めて思い知る。よくぞ塩分のある海で分厚い氷が生まれ、ここまで旅をしてくるものだ。